「で?今日どこ行くのー?」
「え?」
「ちなみにぃーあたしはー」
わざとらしく語尾を伸ばしてふざけた目で俺を見た。
「聞いてねーっつーの」
かすみは肩にグーパンチで優しく小突いた。
「ははは、さすが健吾だね。変わってなくてホッとするよ」
「お前もな」
自分の口から飛び出した聞き馴染みのない温かい笑いに面食らった。でも確かにそうだ。
こいつと話しているとなんだかホッとするのは俺も同じだったから。
俺の中のそんな懐かしい思いをかき消すように、電車が風を連れてホームにやってきた。
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