私の言葉を意図的に遮った彼。私の好きな笑みを浮かべて、私がそれ以上の言葉を紡ぐことにそっと牽制を掛けた。


もう帰ろうかな。そう言った癖をして私がこの場所を去ることを前提に、優しく見つめて帰路を促す。

その赤色の瞳だって、まさに色の通り。何処か熱を感じてしまう。──こんなの、雪よりも早く、私が溶かされてしまいそうだ。


白い肌がやけに風景に馴染む。風が吹いて、その細い髪の毛と一緒に雪が宙に浮いて、舞って。


まるで一枚の絵のようなその姿に、目を奪われた。


全てをこの寒空から切り取って、世界を私と君の二人だけのものにしたい。終わらない冬を迎えたい。


その冷たい体を苦しいと笑われるまできつく抱きしめて。知りたいというだけの熱い気持ちを露にして。

『すき』その二文字の言葉に精一杯の熱を込めて伝えてしまいたい。


いっそ、私の熱で君のことを溶かしてしまいたいけれど。


──来年、会えないと悲しいから。今年も、今日も、脳裏に浮かべたその行為を実践することを躊躇して。


私も君の真似をしてそっと不格好な笑顔を浮かべた。


掌にも、頬にも、身体の内側まで、君の熱が残っている。


体に留まったままでいるその熱たちに、徐々に身体が侵されて。寒さから来るものとはまた別に、ピリピリと指先が傷んだ。





──君の掌に捕らわれた、真っ白い雪。

時間をかけて、やがてその熱に溶かされる──。


それはまるで、私のように。