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夜ーー。
「はぁ~、疲れた!
夜ご飯美味しかったね、円、篠原さん。」
「うん。」
「ここ、温泉なんだよね?」
「そうそう!
篠原さん、さては温泉大好きでしょ??」
「う、うん…。」
篠原さんが嬉しそうに笑うので、
思わずきゅんとしてしまう。
この旅行で一緒のグループにならなければ、
篠原さんの可愛さに気づかなかった。
「温泉、行こう。篠原さん、結。」
「そうだね!」
「うん。」
私たちは部屋で休むこともなく、
すぐに温泉に向かった。
同室は私たち3人と他のグループの女子3人。
その子達は少し休んでから行くと言っていた。
案の定、そう考える女子は多いようで、
お風呂はかなり空いていた。
「円、スタイルよくていいなぁ。」
「結、急になに…」
「普通にうらやましいの。」
「別に元は普通の体型だったし。
食欲ないから痩せただけで…」
「え?元って…?」
篠原さんにつっこまれ、ハッとなる。
しまった…
「あ、円ね。
壮絶なダイエットしたんだって!」
「え、壮絶って…!?」
「かなり食事制限してたよね…?」
結が勝手に話を作って、私に振った。
「う、うん。」
「確かに細くてうらやましいけど…
食事減らすのは良くないよ?」
「そ、そうだよね…。
だから、今はもうやめてるの。」
「そっか。なら安心!」
篠原さんが本気で心配してくれているのがわかって、胸がチクリと痛んだ。
本当に良い子なんだな…。
私たちは会話を切り上げるためにも、
早めにお風呂から上がった。