夏休みが明け、9月下旬ーー
私たちは修学旅行で北海道に来ていた。
東京にはじめじめとした暑さが残っているが、
北海道は爽やかだ。
夏休みが明けてからはまた宮療法を再開し、
私の体調も割といい。
北海道で歩き回るくらいはできそうだ。
宮は夏休みの登校日のことをその後言ってくることはなかった。
相当悔しかったのか、私にうんざりしてるのか。
どっちでも関係ない…けどね。
「円!なんかテンション上がるね!」
結は空港を出てからずっと足をバタバタさせて興奮している。
「結。そんなにはしゃいで…
観光の前に疲れちゃうよ。」
「私は円と違って体力あるピチピチのJKだから大丈夫なの!」
「はいはい。」
このあとはバスで宿に向かい、
荷物を置いてグループで自由行動の予定だ。
行きたいところも既にみんなで決めてある。
結も宮も平塚くんもいるし、
私もこう見えて結構テンションが上がっている。
なんとなく宮の方を見ると、
平塚くんの隣でなんかしょんぼりしていた。
「宮くんね、飛行機苦手なんだって。」
結が私に耳打ちし、私は吹き出しそうになる。
「え、まじ!?高いところ嫌いってこと?」
「なに今日いちテンション上がってんのよ。」
「だって~!」
宮の弱点とか超美味しいじゃん。
屋上は平気そうだったけど、我慢してたのかなぁ。
うわぁ、これをネタにいじりたい!
バスはすぐに宿に着き、
小さな荷物を持って私たちは外に出た。