不眠姫と腹黒王子




女子たちが残念そうにため息をつくが、
切り替えも早い。

引き続き、より良い男子と合併できるように
目をギラギラさせ始める。


「え、円ちゃん…だ、大丈夫?」

篠原さんが不安そうに私に尋ねた。

「うん。ごめんね、なんかイラついちゃって。」

「え…イラつく??」


篠原さんは何のことかわからない様子で、
キョトンとしている。


「まぁ、班も決まったことだし、
回りたいところとか調べよ。」

「そうだね…。」


「ちょっと、円。」

結に再び声をかけられる頃にはイライラも収まっていた。

「ごめんね、結。なんか我慢できなかった。」

「いいんだけどさ…
どうしてそんなに怒ったわけ?」

「なんか宮にイラついて…」


イラついた理由。

きっと何とも思われずに無視されて、
簡単に振り払われてしまう女子に自分を重ねたんだ。

宮にとって、今は本性を出す価値のある人間と思ってもらってるようだけど、
いつ飽きられるか知らない。

宮って、飽きたおもちゃはすぐに捨てるタイプだし。


あの振り払われた女子たちのように自分もなりそうで…怖い。


『怖い』
そう思った自分に驚いた。

なんでそう思うのか、考えるのも億劫で、
私は思考を停止した。