「お前、その後どうよ。寝れてんの?」

「ん?んー、今んとこは夜少し寝れてる。
まぁまだ夏休み始まって3日だし、
今後不安ではあるけどね。」

「会ってほしいとか言わねぇんだな。」

「さすがに夏休みまで迷惑かけられないよ。
前みたいに悪化したら頼むかもしれないけどね。」

「あっそ」


終業式まで、夏休みにも会ってほしいと泣きつかれると思っていたけど、そんなことはなかった。

今も平気そうに不要だと言い切ってくる。

それになぜかイラッとした。


『間もなく7時から花火が夜空に打ち上がります。
押し合わず、もう5分ほどお待ちください。』

祭り会場に花火打ち上げのアナウンスが流れ、
本堂のそばにも人が集まってきた。


「おい、円。
もっとこっち来い。」

「うん。」


円は大人しく俺のそばに寄り、座り直した。

周囲はかなり賑わっている。

花火をメインで楽しめるのは河川敷の方だけど、
本堂の方からも見られることで地元の人には人気だった。


「なんか…眠くなってきた…。」

「へ?」


静かになってきたと思ったら、
こいつ眠たくなってたのかよ。


「宮、いい匂い…。」


いつもより長いまつげが重そうに下がっていく。