「とりあえず!
なんか話してきなよ。
夏休みはこれからだし、チャージしないと!」
「宮は私のガソリンかって。」
「アハハっ…」
まぁ確かに、学校がなくなるのは結構不安だし、
せっかくの機会だから話して宮の匂いを鼻に焼き付けておくか…。
「よぉ、宮。」
私が宮の肩を叩くと、
振り返ってすぐに目をそらした。
「久しぶり、円。」
「今日浴衣なんだね。」
「まぁね。りかの家が着物扱ってるらしくて、
徹と一緒に貸してもらったんだ。」
"りか"というのは、最初宮たちと一緒に来た女子のうちの一人。
りかちゃんを見ると、ニッコリと愛想よく
笑い返してくれた。
「そうなんだ…。」
「あ、円ちゃん!おはよー!!」
「平塚くん。」
平塚くんはいつも通りの明るい笑顔で私と宮の方に近づいてきた。