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「あぁ、そゆことか。
やっとわかったわ。」
「宮って結構バカなんだね。」
「あのなぁ、お前が頭良すぎるんだよ。
学年何番くらい?」
「前回のテストは忌引きで休んだし、
それまでは寝れてたから中の上くらい。」
「ふーん。
不眠のメリットもあったんじゃん。」
「……。」
メリット…なのかな。
ひとりぼっちの夜が寂しすぎて、
仕方ないからやっただけで、
前向きに取り組んだわけじゃない。
それに…勉強できるよりも眠れる方が
私にとってはずっとメリットだ。
「…じゃあ、次数学教えろよ。
給料代わりだと思ってさ。」
「うん、いいよ。」
その時、教室の扉がガラッと開いた。
私たちがそちらを見ると、
驚いたような顔のクラスメイトの女子二人が立っていた。
「あ、佐々木さん。立山さん。
おはよう!」
宮はすかさず爽やかに挨拶をした。
切り替えはや。
「おはよ…。」
「おはよう。」
二人はチラッと私に視線を向け、
すぐにそらした。
「もうこんな時間か…。
私、自分の席戻るね。」
「あー、ちょいまち。ここだけ。」
宮に呼び止められ、
問題を教えてる途中、なんかおでこに視線が突き刺さっているような気がした。