「高山さんも来る?
佐竹さん誘っていいからさ!」

「え…」


円は少し考える素振りを見せた。


「結には聞いてみる。
でも…
私、浴衣一人じゃ着れない。」

「……。」


あぁ、なるほど。

瞳が陰った理由。

きっと母親に浴衣を着付けてもらったことでも思い出したんだろう。


「あ…そっか…」

「別に私服でいいだろ。」


俺がそう言い切ると、円は
「たしかに」
と納得した。


「でも女子みんな浴衣じゃないかな?」

「まぁ、向こうは合コンみたいな気分だろうし、浴衣なんじゃね?」

「そっか。」


いちいち暗いな!こいつは!
めんどくせぇ!


「浴衣がいいなら佐竹さんの母親にでも着付けてもらえばいいだろ!
嫌なら私服で来いよ!」

「おいおい、恭介。そんなきつい言い方…」

「いいの、平塚くん。
今のは私が悪いから。」


電車のホームで、円は別れ際
佐竹さんと一緒にきっと行く
と言い残して帰っていった。