不眠姫と腹黒王子




昨日、念願だった結との仲直りを果たし、
心地よい朝日のなか、
私はとてつもなく重たい頭を持ち上げた。


相変わらず眠れないなぁ。

ちょっとはストレスもなくなって、
寝れるかもしれないと期待したのに。


朝の準備をし、いつも通りの時間に学校へ向かった。

昨日、この時間に来るのやめるって言ってたから、
きっと宮は来ないだろうな。


つまらない…。

宮を利用している手前、
これはただの私のわがままだけど、
一人ぼっちじゃない時間は私にとって貴重だ。

だから、朝に宮とケンカするのも悪くなかったのに…。


案の定、宮はみんなと同じような時間に登校してきた。

その頃には結もみんなも来ていたので、
寂しさはなかった。


まぁでも、権利は行使させてもらう。

『放課後、保健室に来て。』

宮にそうメッセージを送り、
私は眠る準備を整える。


「いつも保健室なの?」


私のスマホの画面を覗き込んだ結はそう尋ねた。


「いや、今日は保健の先生いないって調べたから。
前は自習室だった。」

「そうなんだ…。
ね、ねぇ、円!」

「何?」


結は顔を赤くして勢いよく私の肩をつかんだ。


「気を付けなよね!
男は狼だよ!!」

「はぁ…」

「円、美人なんだしさ!」

「大丈夫だよ。
あいつ、私のことあんまり好きじゃないっぽいし。」

「そんなことないよー!
あの人気者の宮くんが協力してくれるんだから、絶対円のこと気に入ってるって!!」


私は苦笑いで返事をした。

結には言ってないけど、
私は宮を脅して協力させてるから、
あの人は私が嫌いだ。

大人しく協力してくれてるのも、
私への同情でしかない。

私にとっては脅してる相手、
宮にとっては見下してる相手、
そんな二人に「何か」が起こるのは正直ありえない。