不眠姫と腹黒王子




「え…円、話って宮くんも…?」

「うん…。」

「そう…なんだ…。」


結が不審そうに宮を見ると、
宮は得意の爽やかスマイルを繰り出した。


「最近、円とも話すようになったんだ。
佐竹さんもよろしく。」

「うん…。」


うさんくさい笑顔だなぁ。

私がボーッと宮のくず笑顔を見ていると、
急かすように横目でにらんできた。


「あっ、そう。
それでさ…結…」


結は私に向き直ると、真剣な顔になった。


「うん…何?」

「最近さ…
ど、どうして私のこと避けてるのかな…って。」


声が震える…。


「やっぱりそのことだよね…。」

「私…やっぱり暗くなってつまんない…かな。
結にずっと頼ってばかりで、
うんざりしたなら言ってほしい…。」

「……。」


結は黙っている。


終始見つめている地面がだんだん涙でにじんでいく。


やっぱり、そういうことなのかな。

仲直りなんて、無理な話だったのかな。


諦めかけた私の肩を、
宮がツンツンとつついた。

宮の方に目を移すと、
顎で結の方を見ろと合図した。


「ゆ、結っ!?」


目を移した先、結は大粒の涙を流していた。


「うっ、うぇ…
ごめん、円ーー!!」

「っ……」


私は驚いてただ唖然とするばかり。

結が黙っていたのは肯定だと思っていたけど、
大号泣しているためだった。