「寝れないことの弊害が大きいの。
体育は倒れる寸前だし、
寝れないこと自体がすごいストレスになる。
だから一刻も早く解決したい。」

「まぁ、なんとなくお前の状況は理解した。
でも、お前が俺を脅してる事実は変わらない。
スマホを無理矢理奪うのはやめるけど、
俺はお前を信じないし、
眠れるようになったら
一刻も早くお前との関わりも切るからな。」

「うん。いいよ。」


円は真っ黒な瞳で俺を見つめた。


こんな風に言われても、
傷つくどころか飄々としている。

怖いやつ…


円は椅子をすべて戻し終え、
荷物を持って立ち上がった。


「今日の実験でわかった。
多分、私…
宮の匂いが好きなのかも。」

「はぁ!??」


いきなり何言い出すんだ、この変態は!


「柔軟剤、どこの?」


円は顔を近づけ、すんすんと匂いをかいだ。


「っっ!!やめろ!」


円を突き放すと、
勢い余って背後の机にぶつかった。


「…?
ごめん…」

「お前、頭おかしいんじゃねぇの!?」

「おかしく…ないよ。」


さすがに…
俺だって男だ。

"一応美人なクラスメイト"
"上目遣い"
"匂いをかがれる"
"密室"
"至近距離"
これだけの攻撃があればそりゃ照れる。


そんなこと、死んでもこいつにバレたくなかった。