「まぁこんなことになったのも、
なんかの縁だよな。」
高山は表情を変えず、
俺をにらみ続けている。
いやいや。
目付きが悪いだけかもしれないじゃん?
こんなときこそ、俺の処世術が役立つんじゃないの?
「お前…下の名前なんて言うんだっけ?」
「クラスメイトの名前も覚えてないの?」
っ…
言い方…っ
まぁ落ち着け。
きっと友達いなくて寂しいやつなんだ、こいつも。
「えっと~、高山…」
『高山 円』
って書くことだけは知ってるんだけど…
何て読むんだ…?
こいつが女友達に呼ばれてるところなんか見たことないし…
「高山 まどか?」
「よく間違えられるけど、違う。」
「えっと…じゃあ、まさか"まる"?」
その瞬間、
高山は俺のすねを思いっきり蹴っ飛ばした。
「っっ!!いって!!!
おま、何して…」
「クラスメイトの名前も覚えられない間抜けなら痛覚もバカだと思ったけど、
違ったか。ごめんなさい。」
「くそっ…お前…っ」
「"たかやま えん"だよ。
覚えておいてね。宮 恭介くん。」
この女…!
弱々しくなんてねぇ…!
痛むすねを両手で押さえ、
見下してくる高山を睨んだ。