「来てくれたんだね。ありがとう。
学校は…?」

「サボり~」

宮はにやっと笑い、着崩していたワイシャツのボタンを上まで留めた。

「佐竹さんも来る予定だったんだけど、
今日の体育で足捻挫したらしくて…
行けなくてごめんって。」

「えっ、捻挫…大丈夫かな…。」

「ドジったとか言ってた。
元気に悔しがってたよ。」

「もう、おっちょこちょい…」

私が笑うと、宮は少し悲しそうに笑った。

「あ、入って…。
今からご飯だから。」
「サンキュ。お邪魔します。」


宮を招き入れると、すぐにお父さんが駆け寄ってきた。

「お父さん、宮もお線香あげにきてくれたの。」
「こんにちは。」
「こんにちは。ありがとう、宮くん。
いつも円がお世話になってます。」
「エヘヘ…」

私の変な笑い声にお父さんは不思議そうに首をかしげた。

お父さんには宮と付き合ってることは言えていない。
ずっと不眠症を治すのに協力してくれた友達だと思ったままだ。

お父さんにはなんか恥ずかしくて言えないんだよね…


「こんにちは。
円さんのクラスメイトの宮恭介です。」

「こんにちは~。」
「あら、あらあらイケメンじゃない!」
「円ちゃんやるわねぇ。」

宮は私の親戚にも丁寧に挨拶をすると、
お母さんにお線香をあげてくれた。