「宮、守ってくれてありがとう。」
俺の胸の中で、穏やかに呼吸しながら円は囁いた。
こんなときばっか素直になりやがって…
俺も円の肩に顔をうずめた。
首もとからせっけんの香りがする。
あーくそ。
よっぽど俺の方が変態だ。
円が無自覚に「良い匂い」とか言って抱きついてるときに、
それよりもっと円の匂いに恍惚としている。
「宮、キス…して。」
円がそう呟き、俺はまた円の手を引っ張って階段の陰へ連れ込んだ。
薄暗い階段の下で、触覚をたよりに円の唇を探し当てる。
キスをすると、冷たかった。
でも少しずつ熱を帯びていく。
吐息が漏れる。
薄暗い中、円の瞳が濡れている。
俺はさっきより強く香る円の首筋にキスを落とした。
円の小さな声が漏れる。
首筋は熱い。
溶けそうなくらい熱い。
もう一度唇にキスをしたーー
キーーンコーーンカーーンコーーン…
俺と円は6時間目の終わりを告げるチャイムにハッとなり、お互いの距離を広げた。
「あっ…えと…そのっ…」
「か、帰るか。」
円は真っ赤な顔でこくりと頷いた。
かくいう俺も頭のてっぺんまで爆発しそうなくらい熱かったけど。