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昼休みまでの時間がひどく長く感じられた。
でもチャイムが鳴ると同時に、
もうこの時間が来てしまったと感じる。
「円。がんば!!」
結に背中を押され、私は力強く頷く。
でも緊張でどうしても宮の方が見れない。
私は宮と目を合わせないまま、
ラインで指定したいつもの自習室へ向かった。
人通りが少なく、暗い自習室の前に立つ。
さすがにまだ来てないよね…?
扉を静かに開けると、
微かに動く人影が見えた。
「えっ…」
「おはよ。」
み、宮…!
もう来てるなんて予想していなかったから、
一気に心臓が加速していく。
「あ、えと!あの…ごめ、いや、ありがとう。」
苦しい。
うまく言葉が出てこない。
あんなにしゃべること考えてたのに…!
「いいよ。
昨日休んでたけど、大丈夫か?」
「あ…うん。」
「そっか。
えっと…おととい……
いや、なんでもない。
……話って?」
「っぁ……」
えっと、何言うんだっけ。
まず…キスのこと?昨日眠れなかったこと?
謝るんだっけ?お礼を言うんだっけ?
「円…?」
宮の不審がるような声が聞こえる。
どうしよう…
もし…拒否されたら…
『人には言葉で伝えなきゃ伝わらないよ。』
「好き。」
そうだよね。
私が伝えたいことはこれだけだ。