あと一個、授業受けたら宮に告白紛いのことをしなきゃいけないんだ…。

いざというとき、うまくごまかせるだろうか。
私の恋心を拒絶するような、なにか決定的な一言を言われてしまったら、ごまかすどころかそのまま気絶してしまいそうだ。


怖い…


不眠症の時感じていたのと少し似た不安が、
私の胸にじわじわと広がっていく。

みんなは怖くないのかな。
告白する女の子達はどんな気持ちなんだろう。

好きな人が自分を好きじゃない世界。


修学旅行の夜、誤解ではあったけれど、一瞬体験したその気持ちを恐る恐る反芻する。

すごくすごく暗くて、自分を守るために心を殺すような感覚。
思い出しても身震いした。

でも、私のは結局宮が『むきになった』ための嘘だったんだ。

あれ…そう言えば…
あのときは宮に嫌われていなかったことが嬉しくていっぱいいっぱいだったけど…

どうして宮はむきになったんだろう…。


「きりーつ」
ガタガタッ

突然の号令に私は慌てて椅子を引いた。

「礼 着席」
え、うそっ…

時計を見ると、いつの間にか本日最後の授業は終わっていた。


なんか、不眠症は治ったのに、前みたいにボーッとすることが多い。
しっかりしなくちゃ…!

そ、そうだ。
宮に場所の連絡…


宮にラインを送ろうとしたとき、
「え~んちゃん」
後ろからぽんっと肩を叩かれた。