バレンタインー2月14日と言えば、ちょうど再来週だ。
「バレンタインに何するの?」
「バカ。バレンタインにすることっつったら、チョコあげるしかないでしょ。」
「チョコ!?私が宮に?」
「そう!」
「そんなの告白してるようなものじゃん!」
「いや、今時チョコ=告白だなんて思わないって。
すこーし好意を見せてさ、反応見るの。
ダメそうなら『いつもお世話になってます』にすぐ切り替えてさ、ね?」
結は得意気にそう話すと、私の肩をガッチリつかんだ。
「円にとっての『前』ってどっち!?
宮くんの側に友達としてでもいること?
それとも自分の気持ちを伝えて恋人として側にいること?
どっちが前か見失ったら、何も変われないよ。」
「私の…『前』…。」
私は不眠症を治して何をしたかったんだっけ…
「私は円が何を選んでも協力するからさ。」
結の明るい笑顔を見て、私の胸に安心が広がる。
「うん、そうだね…。
バレンタインにチョコ渡してみる。」
「うん。」
「そのときに私の『前』も、決めるよ。」
結は自分のことのように嬉しそうに笑ってくれた。
2月14日。
前に進むための一歩目、踏み出すよ。