「そうだったんだ…」
宮とお泊まり会をした翌週の月曜日ーー
私はお泊まり会で起こったことをすべて結に話した。
お母さんが死んだ日の真実。
不眠症の本当の原因。
それらを宮が気づかせてくれたこと。
不眠症が治ったこと…
結は少し涙ぐみながら言いたそうにしていることを一度飲み込み、
「不眠症が治ったこと、本当によかった。」
とだけ言った。
宮が帰ったあとの土日、
信じられないくらいにあっさりと夜が終わった。
ベッドで目をつむったら、気づいたら朝だった。
私にとってその感覚は本当に久々で、叫びたいくらいに嬉しい反面、今まで大嫌いになるほど近くにいた「夜」にぽっかりと穴が開いたことは
少し
少しだけ名残惜しいような気がした。
性格や言動が昔に戻ることもなかった。
不眠症が治れば、前のように明るく笑顔で過ごせると思っていたけれど、そううまくはいかない。
たしかに心に沈んでいた重りみたいなのは宮のおかげでなくなった。
でもやっぱりお母さんを亡くした悲しみは、
いつも私に纏わりついてなかなか消えない。
不眠症だった私を消すことも、
お母さんの死を忘れることも、
私にはできない。
背負って、前向きに生きていくしかないんだ。
だからこそ、結が前向きな言葉だけを言ってくれて嬉しかった。