円はようやく俺の方を向いた。 「思い出すって…?」 「お前は何かを忘れてる。 忘れようとしてる!」 「何言ってんの。」 円はいつものように感情のない声で言い切ったけれど、 その表情は今までにないくらい固かった。 「思い出せ。」 「あたし…」 「お前の母親が死んだあの日 何があった?」 「私… あの日…」 円はポツリとポツリと 自分の記憶を辿るように話し始めた。