「いやあぁあああぁ!!!!!!」

すさまじい絶叫で俺は飛び起きた。

「…円?」

ソファから見下ろすと、円が頭を抱えてうずくまっていた。

「円!!どうした!?」

「やっ、やだぁ!!ごめんなさい!!ごめんなさぁい!!!」

ジリリリリリリリリ…

今までに見たことがないくらいに取り乱している円を見て、俺も動揺が隠せない。

なんだこれ、どうすれば…

円の呼吸の速度が異常に速まっていく。
苦しそうに喉に手を当てて、涙をボロボロと落としている。

このままじゃヤバい…!

俺は救急車を呼ぼうと、震える手でスマホを掴んだ。

そこで初めて目覚ましのアラームがけたたましく鳴っていることに気づいた。

すぐにアラームを止めると、円も叫ぶのをやめた。


「っ、はぁっ、はぁっ…」
「円!大丈夫か?」
「ごめ…はぁ…ごめん、なさ…」

円は満身創痍になりながら、何かに必死に謝っている。

少し冷静さを取り戻した俺は、ようやく状況を判断できるようになった。


「何に謝ってる?」
「…っ、ごめんなさい…」

これだ。


円の不眠症がいつまでたっても治らない原因。
絶対ここにある。

きっと、今を逃したら掴みかけてる手がかりを手放すことになる。

それなら…


俺はごくりと唾をのみ、覚悟を決めた。

「円、思い出せ。」