円の作った飯は絶品だった。
さすが、毎日家事をこなしてるだけあるな。
まぁ照れ臭くてそんなこと言えないけど。
そして、一番の問題…
就寝の時間だ。
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「おい、俺はどこで寝りゃ良いんだよ。」
「え、う~ん…」
円は顎に手を当てて、考えている様子。
「リビングのソファでも良い?」
そりゃ、円の父親のベッドで寝るのもなんかあれだしな。
「まぁ…。」
「私の部屋だと狭いから。」
「は?」
「いや、安心して。宮はソファだよ?
あたしが布団敷くから。」
「ちょ、ちょっと待て。お前何考えてる?」
「え」
円はキョトンとした顔で俺を見上げる。
「リビングでならそばで寝れるかなって。」
こ、こいつ…!!
寝ている間に脳内でどんな変換してんだ!!
つい数時間前に
『寝室も別でいい。』
って言ったばっかりじゃねぇか!
「あのなぁ…」
「昼間寝すぎてあまり眠くない。
でも宮が隣にいるなら寝れる。」
円は無表情で淡々と言い切った。
「円…」
窓の外はすっかり闇に包まれている。
その闇を見つめて、円は深くため息をついた。
「いやだなぁ。」
円は本当に嫌そうに目を伏せた。
俺はそれ以上何か言うのがなんだか申し訳なくなった。
「夜なんて…。」
円もそれ以上何も言わなかった。