**
「ん~…」
数時間後、円は俺の肩から頭を起こした。
観ていたアクション映画はとっくに終わり、
動けない俺は二度目のラストシーンを見ているときだった。
「おはよ、円。」
「おはよ…」
「お前寝過ぎ。もう夕方だぞ。」
「えっ」
円は壁にかかった時計を見ると、慌てて立ち上がった。
「ご、ごめん。
起こしてくれてよかったのに…。」
「珍しく深く寝れてたしな。
別にいいよ。」
正直アクション映画のリピートはきつかったけど。
「ありがとう…。」
こんな風に円の笑顔が見れるなら…
って、そういう下らん気持ちは消そうと思ってんのに…!!
あーくそ!
「宮?なにイライラしてんの?」
「あっ、いや。腹減ったな、って。
我慢できなくてお前の残してたケーキも食っちゃった。」
「え…」
あ、そっぽ向いた。
顔には出してないけど、これちょっとムッとしてる。
ハハッ…可愛いな。
って、俺キモ!!
これも消去!
「ゴホンッ、飯何する?
買い出しでもいくか。」
「…うん。」
円は少し怒っているのを俺に気づかれないように、
普段通りの真顔で返事をした。
俺は円が怒っているのも自分の気持ちにも
気づかないふりをして立ち上がった。