「円は宮くんがいる方が嬉しいのか?」
「…うん。」

私の返事を聞くと、お父さんはにっこりと笑って言った。

「なら呼びなさい。
宮くんのことはお父さん、信頼してるから。」
「わかった。」


声の調子からも表情からも、感情をうまく表現できないけれど、私は喜んでいた。

初めての宮とのお泊まり会だ。
(まだなんの了承も得てないけど。)

いつもより長く宮と一緒にいられる。
学校でひっそりと別れを惜しむあの瞬間がない。
夜に宮が隣にいてくれたら…


「早速二人に連絡とってみる。
あ、せっかくだし平塚くんも誘ってみる。」

「ひ、"平塚くん"!?
それは誰だ!」

「え、宮の友達。
このあいだ一緒に出掛けたんだ。」

「っ…
え、円。あくまでも、健全なお泊まり会にするんだよ?
もちろん男女の寝室は分けて…」

お父さんの説教が始まったけれど、
私は右から左に聞き流していた。

3人に送るメッセージをあれこれ考えるのに夢中だったからだ。


そうしてメッセージを送ったのが一昨日、木曜日の話。