「いらっしゃい。」
「お邪魔します…。」
1月も下旬になり、寒さも増してきた頃。
うちの玄関先で照れ臭そうに手土産を差し出しているのは宮。
「ありがと。あ、ケーキ。」
「おい、佐竹さんは?」
「結ね、風邪引いたって。」
「は!!?」
珍しく宮が大きな声を上げた。
「だから来れないって。」
「いや、え、今日泊まりって聞いてたけど…
まさか二人で泊まろうとしてるわけ?」
「そうだね。」
玄関先で靴も脱がずに硬直してる宮。
いつも何かと協力してくれる結だけど、
今回は本当の風邪だ。
私だって心配だし、2人きりなこととか
もはやちょっとどーでもいい。
「どーぞ。上がって。」
「なんでお前はそう冷静なんだよ。」
「じゃあガンガン警戒した方がいい?」
「はぁ…」
宮は小さくため息をつくと、もう一度
「お邪魔します。」
と言って、靴を脱いだ。
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なぜこんな状況になっているかと言うと、
話は一週間前に遡る。