「だからな、気ぃ遣って一緒に寝るとか言うのやめろ。」
「でも…宮眠いんでしょ?
気はもう遣わないから、寝ればいいじゃん。」
「お前、まだ言うのかよ!」
コイツ、なんも分かってねぇんじゃねぇの!?
「それとも、宮あたしと寝るの嫌なの?」
その時、俺の中の何かがブチっと切れた気がした。
ベッドに片手をつき、円との距離を詰める。
ベッドがギシッときしむ音がした。
「そんなに無防備でいるとさ、襲うよ?」
言葉を発してからハッとなる。
しまった。
柄にもなく頭に血が上った。
円は相変わらず真顔のまま俺を見つめている。
自分の中の下心とか本能とか、
隠している部分を見透かされているようで恥ずかしさが込み上げた。
「悪い、何でもない…」
本能と一緒に、ベッドに突いた片手を引っ込めようとしたとき―
「いいよ。宮なら。」
円が澄んだ瞳で俺を見ながらそう言った。