「宮。」
朝、登校時間より早く着き、暖められた教室に安堵する。
さらに早くに登校し、教室を暖めているのはもちろん円だ。
俺が来ると椅子から立ち上がって、嬉しそうに名前を呼んだ。
「おはよ。今日も早いな。」
「おはよう。宮もね。」
「俺は期末試験のべんきょ。」
最近、円が一人朝早くからみんなが来るのを待っているのを想像して、つい早起きするようになった。
契約序盤からは考えられないような変化だ。
まぁ円も喜ぶし、テスト勉強もできるから、
いい朝活になってるっちゃあなってるけど。
「そっか。来週からだもんね。」
「お前は相変わらず予習復習完璧だろうな。」
「ん~でも睡眠時間増えたから、前よりは順位落ちるかも。」
「…よかったな。」
「うんっ…」
円は俺の普通とは逆の返事に、本当に嬉しそうに頷いた。
「あ、宮。今日は保健室。放課後…大丈夫?」
「いいよ。
けどその代わりチャイム鳴るまで勉強教えろ。」
「ありがと。」
円の横の席で数学の問題集を広げる。
まだ誰も来ない早朝。
静かな学校でのこの時間が俺は結構好きだ。
やっぱり円とはこの距離感がベストだと思う。
友達より少し近い、素が出せる仲。