「ありがとう。」
「やっぱ今日は不気味だな。」
宮は私に嫌味を言うと、ゆっくり視界を袖で覆った。
契約して初めて眠れたときと一緒だ。
まぶたを透けて入ってくる光も消えた、真っ暗な視界。
眼球に染みる温かさ。
柔軟剤のいい匂い。
今はそこに、いつもより早い、でも心地よい心臓の音が加わっている。
「今日楽しかった。来てよかった。」
「ああ。」
「またみんなで出掛けたい。」
「…ああ。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」
私の意識は深く深く沈んでいった。
「『みんなで』か…。簡単に言うよな。」
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数分後、宮に起こされ、間もなく乗り物を降りた。
結局宮をドキドキさせることはできなかったけれど、まぁいいか。
と、ボーっとする頭で考えた。
日は沈み、辺りはすっかり暗くなっている。
大嫌いな夜の始まりの時間、
初めて私はささやかな幸せを感じることができた。