2人乗りのそのアトラクションに、結の理不尽な組分けで、私は宮と一緒に乗ることになった。

もう私に残された作戦もない。
とりあえず、作戦①物理的接近だ!


「足元お気をつけくださ~い」

係員の誘導を聞いて、宮がナチュラルに手を差し出してきた。

なに食わない顔をしている宮が逆に憎たらしく思えてくる。
こうやって女を落とすのか…。

私は仕方なく宮の手を取り、乗り物に乗り込んだ。

乗り物は間もなく水の中に侵入していき、私たちはにゃん太の世界を船でたどることになる。


「やっほ~、僕の名前はにゃん太!」

猫の人形が私たちに向かって規則的に手を振ってしゃべっている。

ひげまで動いてて…精巧だなぁ…。

「…」
「…」

って、ボーッとしてたらだめだ。
作戦、やらなきゃ…!

私が宮との距離を詰めようとした時、
「お前ら、今日何企んでたの?」
宮が思いがけない質問をしてきた。

「えっ、企む…?って、何?」
やばい…やっぱり不自然すぎたか…

「よくコソコソ話してるし、
お前の行動不気味だし、何かあんだろ。」

「ぶっき、み…」

ガーーン
あの必死の女子アピールを不気味で片付けられた。

宮は悪意がないようで、次から次へと登場するにゃん太に集中しているようだ。

もうドキドキ作戦なんて潮時か…。


「別に、ちょっとでも明るくなろうと思っただけ。」

宮はにゃん太に向けていた目を私に移した。