「ごめん、宮。」
「何が。」
「宮が帰りたがってると思わせてしまった。」
「別にいいよ。俺も疲れたし。」
「…。」
宮を横目で見上げると、学校では想像もできないようなへの字口で無愛想な顔をしている。
でもこれ、怒ってるんじゃない。
たぶん、気ぃ抜いてるときの顔。
そういうこと知ってるだけでも私は他の子より宮を理解できてるよね…。
宮ドキドキ作戦も成功しなかったけど、
落ち込むことじゃないはずだ。
その時、平塚くんが笑顔を私たちに向けた。
「決まったぞ。
最後はやっぱり大本命・観覧…「却下。」
「は!?はえぇよ!
ちょっとは我慢しろよな、恭介。」
「なんで俺が我慢しなきゃなんねぇんだよ。
どうしても乗るなら俺帰るから。」
「はいはい。言うと思いましたよ、ホントワガママ王子様でちゅね~。」
平塚くんの煽りに宮はなんとか舌打ちでこらえる。
逆に結は笑いをこらえるのに必死だ。
「じゃあこれ。『イッツアにゃん太ワールド』」
「なんだ、そのふざけた名前。」
「にゃん太はこの遊園地のマスコット。
そのにゃん太が冒険する話を船に揺られてゆっくり見ようってやつ。」
ああ、よくある息抜き的アトラクションか。
今の私としてはかなりありがたい。
でも…
「円。」
結が私の肩をぽんっと叩き、強く頷いた。
そうだよね、結!
このチャンス逃すわけにはいかない!
本日ラストチャーーンス!!