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作戦③
嫉妬喚起
言葉で攻める作戦は他にも色々あったのに、
宮のあの一言でこれ以上恋バナや下ネタトークはしづらくなった。
まぁ私を思っての優しさで、そう言ってくれたこと自体は嬉しいけれど、作戦を遂行する上ではただの邪魔。
次の作戦はできるだけ使いたくない最終手段だったけど…
やむをえん!
「平塚くん。」
平塚くんの肩をトントンと叩き、上目遣い×斜め30°の結直伝・必殺『童貞ホークアイ』を発動。
「な、何?円ちゃん。」
平塚くんは0.5秒くらいで鼻の下を伸ばした。
予想通り、チョロ。
「私、高いところ苦手で…
このコースター結構上るよね…?」
「へへっ。俺が手ぇ繋いでてやろっか?
なんちゃって。」
「アハハっ、バカ…!
でも…」
疲れるけど、私は口角を無理やり上げる。
「元気付けようとしてくれてありがとう♡」
「えっ、ははっ…でへへ…」
平塚くんはあからさまにでれでれしている。
よし、ここまでやれば十分なはず!
どうだ宮!
ちょっとくらい嫉妬したか!
自信満々で宮の方を見ると、青い顔をして俯いている。
「え、円…
俺…俺…」
おっ、この感じ!
嫉妬心に目覚め、私への特別な感情に気づいて…!
「何…?」
「俺…俺…!
絶対これ無理!!」
宮は青い顔を赤くしてそう言うと、
勢いそのまま列から逃げ出した。
*結果*
忘れてた…。
宮、高所恐怖症だった…。