結たちのもとに戻り、しばらくゆっくりしてから私たちはまた立ち上がった。

せっかく来たんだし、遊園地を満喫し直すためだ。

なによりこの1週間の努力がむだになってしまう。


「円っ!」
「うん。」

私と結は目を合わせて合図をした。

そう。
今日の目的、宮が少しでも私にドキドキするように考えた
『宮ドキドキ作戦』
を決行するときが来たのだ。


***

作戦①
物理的接近

私たちが再始動して、まず並んだのがお化け屋敷。

手っ取り早く女子らしさをアピールできると思ったところだ。


「じゃあペアは~
せっかくだし仲良しな男女ね!」

順番が来る直前、突拍子もなく結がそう言い切り、
すぐに平塚くんと軽く腕を組んだ。

なんかあからさますぎない…?

宮を見上げると、特に何も不服がない顔をしていて、ひとまず安心する。

「ほんじゃ、レッツゴー!!」


先に結たちがお化け屋敷に入っていき、
私と宮は冷気が漏れる外に残された。

「み…宮、怖いの平気なの…?」

「まぁ。」

「…。(だろうな)」

「お前は?」

「別に平気。なんなら…」
会ってみたいくらい。

言おうとしてやめた。

「何だよ。」

「動揺する宮見てみたかったのに。」

「さっき十分したっての。」

「…。」


お化けより、私を心配することの方がよっぽど
宮の心を動かすのだろうか。

そんな期待を込めた想像をして、嬉しくなる。