「良い感じじゃないですか、円さん!!」

「え、別にいつも通りだよ。」

「何よぉ。いつもイチャイチャしてるって言いたいのか!?」

「別に…。」

「円可愛い~!赤くなっちゃって!」

「う、うるさいなぁ…っ」


「ねぇねぇ、おねぇさんたち!」

その時、背後から緩い口調でそう呼び掛けられ、
私と結は振り返った。


「はい?」

後ろにいたのは同い年くらいか…
高校生らしき男子4人組だった。


「並んでる間暇だからお話ししない?」
「何歳?可愛いね!」

「いや、私たち男子と来てるんで。平気です。」


結がズバッと男子の誘いを断るが、
そいつらはめげずに話しかけ続ける。


「いや、あの人たちが戻ってくるまででいいし。」
「なんなら俺らとフェードアウトしちゃう?」
「ハハハッ…」

「結構です!」

「つれないなぁ。」

そいつらのうちの一人が結に一歩近づこうとすると、結はカバンを振って牽制した。

「ホントうざい。これ以上寄るな。」

「チッ…」


なんか…様子が変わった。
さっきまでの向こうの温厚な雰囲気が一気になくなっている。


「結…列抜け…」
「はぁ。ホント、ブスばっか気ぃつええよな!
自意識過剰って言うの?」

「は?」


男は鋭い目付きで私と結をじっとりと見下ろした。