不眠姫と腹黒王子




「最初何乗る?」

「どうしようね…。みんな絶叫は平気なの?」

「まぁ。」
「大丈夫。」
「俺大好き!」


このキャラ濃いめの4人でも似てるところはあるんだな。

そんなことに地味に感動する。


「あれ、ていうか宮は高いところ嫌いじゃ…」

「お、お前!覚えてたのかよ!」

「えっ…まぁ。」

宮は少し慌てるも、すぐに咳払いで動揺を誤魔化した。

「忘れとけよな…。」

「いや、宮のあんな面白いネタ忘れるわけないじゃん。」

「面白くねぇわ。性悪。」

「ふふっ…」


宮は思わず笑ってしまった私を見て、
さっと顔をそらした。


「どしたの?」

「いや、今日…化粧してんの?」

「え…うん。」

「髪も、珍しく整えてんのな。」

「うん。」

あんたのためだよ。

遊園地にスカートはいてきたのも、
朝早く起きて化粧を頑張ったのも、
あんたに可愛いと思われたいからだよ。

髪をハーフアップにして来たのも、
もう一度修学旅行の時みたいに触れてほしいからだよ。

言えないけどね。


「まぁいいんじゃね。」

宮は顔をそらしたままそう言った。

「うん…。」


こんな曖昧な褒め方でも良い。

あんたに可愛いと言ってもらいたくて勝手に頑張った。

好きになるなと言われた私のささやかな抵抗だ。