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約束の日曜日ーー


私たちは東京から電車で1時間、
ほどよい自然の中にある人気の遊園地に来ていた。

最寄り駅には30分ほど前に着き、
結に化粧などの最終チェックをしてもらい、
準備万端。


「よし!そろそろ時間だし、集合場所行こっか。」

「う、うん…。
ねぇ、結。なんかさ…」

「ん?」

結は嬉しそうに首を傾ける。

「今更ながらこんな必死に準備してる自分が恥ずかしくなってきた…。」

「え!?ホント今さら!」

結は冗談ぽくクスクスと笑うが、
私はその笑顔から目をそらす。

「だってさ…お母さんが死んで、お父さんは相変わらず必死で働いてて、不眠症で苦しんでる私が…
こんなことしてていいのかな。」

これは修学旅行の時も考えていたことだ。
感情より理性が先に立って、なかなか心を表に出せない。

結は私の手をとって、痛いくらいに握りしめた。

「結?」

「いいんだよ。
円は、楽しんでいいんだよ。」

「…。」

「泣いたって笑ったって、恋したっていいよ。
円のお母さんならきっとそう言う。」

「言う…かな。」

「言うよ。」


結が力強く頷くから、私は
「わかった」
と返事をした。

でもやっぱり笑顔も涙もそう簡単には出てこなかった。


「…行こ。」


結は苦笑いをして、掴んでいた私の手をそのまま引いて歩き出した。

なんだか申し訳ないな。
結の説得が心に響かないわけじゃないのに。

そうじゃない。
そうじゃなくて…。

私は記憶をたどる糸を切断するように、
固く目をつむった。