「宮くんを円に惚れさせれば良いんだよ!」

「そんなことありえないって。」

「もう~!円、ネガティブ!」


だって、『好きになるな』という条件を出した宮から告白してくるなんて、あの人の性格的にありえない。

たとえ私に恋愛感情を抱いたとしても、
決して私に明かさないだろう。


「とにかくないよ。
別に付き合いたいから相談してるんじゃないの。
ただ結には知ってほしくて…。」

「ううーん…」


結は納得していない様子で頬杖をついた。


結には悪いけど、今の状況で宮を失うかもしれないリスクを冒すほど私はバカじゃない。
そんなことしたら、今度は短期入院じゃ済まないかもしれない。

あくまで"友達"。
友好的にやっていかなくては。


「じゃ、じゃあさ!
とりあえず二人で楽しいことしてみるっていうのはどう?」

「楽しいこと?」

「そう。今まで不眠症を治すことでしか共有してなかった時間を、今度は楽しいことに使うの。
例えば…どっか出かけてみるとかさ。」

「出かける…」

想像しただけで気分が明るくなった。

"友達"なら…出かけるっていうのはあり、かな?

「二人きりが難しいなら、
私とか平塚くんとか入れてみんなで!
どう??」

「楽しそう…。」

「だよね!?」


結は私の答えを聞くと、
すぐにスマホで何か検索し始めた。