「よしっ、釣れたっ!!」
学校に戻ってきて、約一週間後。
穏やかな昼休み、
隣でお弁当を食べる結がガッツポーズをした。
「釣れたって?マグロ?」
「バカ。何言ってんの。
宮くんだよ、宮くん!」
結は私にスマホの画面を突きつけてきた。
画面には平塚くんとのライン。
『宮恭介、説得完了☆』
「よし、これで場は整った。
円、万全の準備で遊園地に臨むよ。
そんで…宮くんと進展させてみせる!」
「なんで結の方がやる気なんだよ…」
なぜこのような展開になっているかと言いますと…
話は入院中に遡る。
***
入院生活も間もなく終わるという頃、その日も宮と結が何度目かのお見舞いに来てくれていた。
学校であった話をしてもらったり、勉強を教えてもらったりと、いつも通りの入院生活を送る。
そして夕方、大抵私は眠気に襲われ、
宮と結のそばで眠りにつくことが多かった。
その日も宮の匂いにいざなわれ、
私は眠ってしまった。
「おはよう。」
目を開けると、結が優しく笑っていた。
「お、おはよう…。」
「体調は大丈夫?」
「うん…。宮は?」
周囲を見回しても、宮の姿はない。
「帰ったよ。今日は夜用事があったんだって。」
「そっか…。」
「私はおじさん来るまでいるからね。」
「ありがとう…」
にっこりと笑う結を見て、唾をごくりと飲む。
チャンスだ…。
言おう。
私は体を起こし、拳を固く握りしめた。