不眠姫と腹黒王子




「えと…何?」

「いや!ごめんね!!
円がさ、みんなで行きたいって言ってて。」

「円が?遊園地に?」

「う、うん。」


怪しい…。

俺が円の目を覗き込むと、
すぐに視線をはずされた。


「何?何企んでんの。」

「たっ、企んでねぇし!
友達がいない宮のために誘ってあげようと…」
「円!」

また佐竹さんが円の口を塞ぎ、
円は悪態をつくのをやめた。

「行こうよ、宮くん。
円も最近元気になってさ、
外に出て遊ぶのも大事だと思うわけ!」

「子供かよ…。
俺いなくて良くね?」

「外で急に体調悪くなったら、
宮くんいないと困るじゃない!」

「いや、普通に登下校とか一人でしてんだろ。」

「っもーー!!いいの!行くの!
駄々こねるな、猫かぶり!」

「へ…」

突然佐竹さんが声を荒げてそんなことを言うから、
俺は一瞬固まる。

「ゆ、結っ!!声大きいよ!」

「や、やばっ…」

なんか…佐竹さんって、円より厄介じゃねぇか?

そーいや、円よく佐竹さんにごり押しされて…
とか言ってたな。

おとなしいやつだと思ってたけど、
やるときはとことんやる系?


「とにかく今週の日曜日空けといてね、宮。」


円はそれだけ言い残して、
佐竹さんの手をとってその場から逃げていった。