「円!大丈夫?頭痛いの?」
結は目に涙を溜めながら私の手を握った。
状況が掴めない。
ここはどこ?
結越しに外を見ると、
いくつかのベッドと歩いている看護師らしき人。
保健室じゃない…。病院??
その時、外から手が覗き、カーテンがまた少し
開けられた。
「っ宮っ…」
に、逃げなきゃ…
「あ…宮!お、おはよ。
ちょっと足捻って、転んじゃってさ。
ハハ…」
平気だって、アピールしなきゃ。
早くこの場から逃げなきゃ…。
「さ、さて、学校戻らないと…。」
私がそう言って立ち上がろうとすると、
バンッッ!!
宮がすさまじい勢いでベッドのそばの机を
叩いた。
「…っ!!?」
「お前はバカか!!!
意地張るのもいい加減にしろ!!」
宮の病院中に響くんじゃないかってくらい
大きい声に、私と結は硬直した。
「ご…ごめん…なさい…。」
雰囲気に呑まれて謝ると、
結が糸を切ったように泣き出した。
「ホントだよ…。
円が倒れたって聞いて…
私、どれだけ心配したと思ってるの?」
「ありがと。結。
でも大したことないし…。」
「バカ!
あんた倒れたとき頭打って大出血したんだよ!」
「え…」
道理で頭痛いと思ったら…
「血まみれで円倒れてるし、
私、本当に心配で…!」
「ご、ごめんね…」
だからこんなに空気が重かったのか…。
結の手を握り返すと、結は少し安心したように
笑った。