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放課後ーー

メッセージで送った通りの時間に宮はやって来た。

場所はいつもの自習室。

一週間ぶりだから、久しぶりに感じる。


「来てくれてどうも。」

「いや…」


宮は珍しく気まずそうにしている。

こいつのことだから、もっと飄々としていると
思ったのに。


「今日は添い寝はいい。
話があって呼んだ。」

「……。」

「契約終了する。
データ、あんたが消して。」

「は?
ひどい顔色して何言ってんだよ。」

「普通だよ。
もう治ったの。不眠症。」

「……。」


データの消去画面を出して、
宮にスマホを手渡した。

近づくと香る、宮の匂い。

ああ、今すぐ倒れこんで眠ってしまいたい。


「おこがましいってわかってるけど、言わせて。
今までありがとう。
不眠症治ったのも宮のおかげだよ。」

「……。」


宮はスマホの画面をしばらく見つめると、
はーっとため息をついて消去ボタンを押した。


「じゃあ契約終了ね。」

「ああ…」

「バイバイ。」


自分でも驚くくらい抑揚のない声が出た。

宮は私を引き留めることなどなく、
あっさりと私たちの契約関係は幕を閉じた。