「円、おはよう。」
「…あ、結…」
気がつくと、クラスの人たちがちらほら来ていた。
あれ、私いつの間に学校来たんだっけ。
今、寝てたのかな…。
「円大丈夫?顔色すごく悪いよ…。」
「わ、私…寝ちゃった…の?」
「え、うん。目を閉じてたけど…」
手が…
震える…
動揺してるのがバレたら、心配かける。
落ち着け、落ち着け。
「…円!」
「へ?」
「ちょっとヤバイんじゃない?
とりあえず保健室行こう。
それか宮くんに…」
「ダメっ!み、宮は…」
「ねぇ、修学旅行のとき何があったの?
そんなに体調崩すくらいのことなら、
ちゃんと聞かせて。力になりたいよ。」
「…別に大したことじゃないよ。」
「円…」
その時、教室の後ろ扉が開き、
宮がいつもの笑顔で入ってきた。
いつもみたいにすぐ周りに人が集まる。
いつもみたいに…
私のそばに宮が来ることはない。
あぁ、何自惚れてたんだ。
最初からハッキリしてたじゃないか。
宮にとって私は友達じゃない。
腹黒い宮を知っている数少ない一人だから、
一緒にいるのが楽ってだけだ。
だから、こんなときあいさつもしないし、
必要以上に話しかけてこない。
バカだな、私。