「…もしもし、結ちゃん?」
『結』!?
って、円の友達じゃねぇか!
「今から俺たちの部屋来て遊ばね?」
部屋の男子がヒソヒソ声で歓声を上げる。
「そう、702な。
あ、先生気を付けろよ。階段から来た方がいい。」
男子たちは早速散らかった荷物を片付け始め、
よれた布団を整え始めた。
「よし、今から10分後に結ちゃんの部屋の
女子来るぞ!」
「うおお!」
「よくやった、徹!」
「荷物どけろ。トランプ持ってるやついねぇの?」
男子たちは大喜びで女子の訪問に備えている。
下らね…。
「おい、徹。俺ちょっと外で飲み物買ってくる。」
こっそり徹に話しかけると、
徹は俺のTシャツの首根っこを掴んだ。
「ざけんな。帰ってこねぇつもりだろ。」
「…ハハハ…。
そんなことしねぇって。」
「今さら俺に嘘つき通せると思ってんのか。
ダメ。円ちゃんと進展するチャンスだろ。」
「だからぁ、円と付き合う気ねぇっつってんだろ。
散々可愛いとか言ってるくせに、どっちだよ。」
「いやぁ、恭介を焚き付けようとして!」
「下手か!離せ!」
徹の手を振り払うと、俺は立ち上がった。
「おい、恭介!」
「ん?宮どこ行くん?」
みんなの視線が集まり、にっこりと笑う。
「ちょっとみんなの飲み物買ってくるよ。」
「お、さすが気が利く!」
「俺コーラ!」
「ペプシ」
「リンゴジュース」
「あ、俺緑茶な、恭介。」
ちゃっかり注文してくる徹にイラッとするも、
笑顔を崩さず俺は部屋のドアを開けた。
「よっす。」
開けたドアの前にはちょうど来た円が真顔で
手を挙げていた。