少し経ってからお母さんが起きてきた。

″二人とも早いのねー″ と言いながら、朝食を作り始める。

私達家族の遅い朝食。
これはもはや朝昼兼用。


のんびり家で過ごしていたら、仕事に行く時間になった。
時間が経つのは本当にあっという間。

だから20歳を越えた辺りから、時が経つのを早く感じる。
それに私は時間に余裕がなく、毎日ギリギリ。
メイクにかける時間は15分。

友達と待ち合わせた時は、必ずどちらかが遅刻するか、同じタイミングで着く。
遅刻癖をなくしたくても、中々難しい。


「行ってらっしゃい!気を付けてね!」


「行ってきまーす!」


玄関先でお母さんと別れ、傘を差し、家から徒歩15分の場所にある仕事先に向かう。
小雨だが傘を差さないと、クセっ毛のある私は前髪がうねりがち。

髪を気にしながら、少し早歩きになる。


″今日も来るのかなー?あのお客さん″
彼と会う日が増えるにつれ、仕事に行くのが楽しくなった。

雨が降って今ブルーな気持ちだけど、早く彼に会いたい。


今喜ばしい気持ちでいっぱいだ。


これが好きってことなのかな?
まだ会って間もないけど、私はきっとあのお客さんに恋してる。


お客さんに恋しないって決めていたのに…。
私は誰かに優しくされると惚れやすい性格。

だからと言って、コロコロと気持ちが変わる訳でもなく、一途だと自分では思う。



熱しやすくて冷めやすい。
まさにその通りかもしれない…。