キッチンに行き冷蔵庫を開ける。
オレンジジュースをコップに注いでいると、お父さんが私に問いかけた。


「亜衣、今日も歩いて行くのか?」


「だって雨降ってるし、さすがに自転車には乗れないよー」


「お父さんが迎えに行けたらよかったんだけどなぁー
最近この辺りも物騒だし、亜衣が心配だ」


「今日は会社の人と飲み会でしょ?
もう私も大人なんだし大丈夫だよ!」


「そうかー?でもなぁー…
うーん」


お父さんが悩ましい表情を浮かべる。
あまり浮かない顔をするのは珍しい。


「実は今日沙智もいるんだよ!だから途中まで一緒に帰って来るから」


「それならお父さんも安心だ」


安堵の表情に変わるお父さん。
私はお父さんに一つ嘘をついた。

お父さんが大好きだから、お父さんにはいつも笑っていてほしい。

だから今日沙智は休みでいないのに、いるって嘘をついてしまった。






ごめんね。お父さん。