休憩も終わり、午後の仕事が始まる。
道内でも桜の開花がニュースで流れ、町がお花見客で賑やかになる。
例年より開花が5日遅いらしい。
お花見は私にとって憧れのイベント。
いつか好きな人と行きたいって、ずっと思い描いていたけど、今年も無理そうな予感…。
いつか、いつかって先延ばしにしていたら、あっという間に三十路が目前。
実現しなくちゃ!来年こそは絶対に!
*
「いらっしゃいませー
お預かりいたします」
いつも通り笑顔を忘れずに接客。
お客さんに″ありがとう″と言われると、すごく心が晴れる。
言葉一つで時には傷ついたり、好きな人と話す時は、魔法にかかったみたいに気分が弾んだり…
不思議なことの方が多い。
「いらっしゃいませ
あっ!こんばんは…」
午後六時を過ぎた頃、あのお客さんがレジにやって来た。
「こんばんは!今日お店混みましたか?」
「そんなに混んでないですよ!」
名前や年齢も知らない彼。
顔を見る度に胸がドキドキする。
アナウンサーにいるような、透き通った優しい声で私に話しかける。
ヘアアレンジされていない短髪に、黒いジャンパー。そしてジーパン。
20代前半くらいの、笑顔がよく似合う普通の男性。
「あの…」
「はい」
「あ、ごめんなさい
何でもないです」
後ろにお客さんが並び始め、言いかけた所で言葉を濁した。
本当はもっと彼のことが知りたいのに、中々上手くいかない。
私はまだこの時知らなかった。
彼が隠している本当の正体を…。
どうしていつもタイミングよく現れるのか。
どうして彼はいつも私のレジに並ぶのか。
まるで、誰かに監視でもされてるかのよう・・・。
道内でも桜の開花がニュースで流れ、町がお花見客で賑やかになる。
例年より開花が5日遅いらしい。
お花見は私にとって憧れのイベント。
いつか好きな人と行きたいって、ずっと思い描いていたけど、今年も無理そうな予感…。
いつか、いつかって先延ばしにしていたら、あっという間に三十路が目前。
実現しなくちゃ!来年こそは絶対に!
*
「いらっしゃいませー
お預かりいたします」
いつも通り笑顔を忘れずに接客。
お客さんに″ありがとう″と言われると、すごく心が晴れる。
言葉一つで時には傷ついたり、好きな人と話す時は、魔法にかかったみたいに気分が弾んだり…
不思議なことの方が多い。
「いらっしゃいませ
あっ!こんばんは…」
午後六時を過ぎた頃、あのお客さんがレジにやって来た。
「こんばんは!今日お店混みましたか?」
「そんなに混んでないですよ!」
名前や年齢も知らない彼。
顔を見る度に胸がドキドキする。
アナウンサーにいるような、透き通った優しい声で私に話しかける。
ヘアアレンジされていない短髪に、黒いジャンパー。そしてジーパン。
20代前半くらいの、笑顔がよく似合う普通の男性。
「あの…」
「はい」
「あ、ごめんなさい
何でもないです」
後ろにお客さんが並び始め、言いかけた所で言葉を濁した。
本当はもっと彼のことが知りたいのに、中々上手くいかない。
私はまだこの時知らなかった。
彼が隠している本当の正体を…。
どうしていつもタイミングよく現れるのか。
どうして彼はいつも私のレジに並ぶのか。
まるで、誰かに監視でもされてるかのよう・・・。