プロのメイクさんに化粧をしてもらい、衣装合わせも無事終えた。

控え室にいること自体初めて。
これからは楽屋挨拶もあるのかな?と想像するだけで、今からドキドキする。


「亜衣おめでとう!」


控え室をノックして入って来たのは、私の両親だった。


「お父さん、お母さん
本当にありがとう!ここまで来れたのも、二人がいてくれたおかげです
感謝してます」


「亜衣が結婚するまでこの涙は、その時まで取っておくつもりだったんだけどなぁー。」


「そう言ってるけど、こないだドラマ見て泣いてたじゃん!」


「そうだった!」


うっすら涙を浮かべていたお父さんに、笑顔が戻る。
私もそうだけど、天然譲りはきっとお父さん。


「今日来てくれると思う?」


「武藤くんか。来るんじゃないか?」


「そうね!きっと来るわ!
だから胸張って歌ってきなさい!
亜衣なら大丈夫」


翼が犯罪者の話をした時も、あまり驚かないで平然としていたし、何か怪しい。
まさかね。
こればかりは私の勘違い。


「行ってきます!」


そろそろ行く時間になり、両親に声を掛ける。
緊張して口が渇く。

場所は、大きなショッピングモールの広場。
ざっと300人くらいはいるらしい。

ステージに上がるのと同時に、ミサンガを天井にかざした。

ライトアップされ、ミサンガが照らされる。



翼、見てる?
私はここにいるよ。


翼、聞こえてる?
私頑張るからね。頑張って歌うからね。



どうか翼に届きますように…!