「カッコいい人見ると目の保養になるわー!」


「気になる人とかいるんですか?お客さんで…」


向かえ側に座っている、4つ年下のバイト仲間である栗山沙智(クリヤマ サチ)が、くっきりした目で私の方を見る。

噂話や恋愛話が大好物の職場。
職場で恋愛が発展した時は、最高のトークネタになる。


「さすがにいないかなー
でも最近、私のレジに並んでくれる人がいるんだよね!」


「もしかしてイケメンですか?」


「普通の人だよ!」


「そうなんですか…
でも気をつけてくださいね!中には変な人もいるので」


沙智に言われて、突如胸騒ぎがした。

絶対に彼は変な人じゃない! そう思うのと同時に、そのお客さんに興味が湧いている自分に気づき始める。



恋は私にとって程遠い存在。
好きになっても、今追いかけている夢と同じで、叶わない方が多いから―――。

ましてやお客さんを好きになるなんて、絶対ありえない。



私はきっと夢でも見てるんだ。