何でも話せる堀田さんと沙智だけには、気になるお客さんがいることを話していた。

でもそんな短期間で恋人になる?
レンタル彼氏とかそういうのじゃないよね。
私の頭の中は今、クエスチョンマークでいっぱい。

よく分からなくて、頭が混乱する。


「私も聞いた時はビックリしちゃって。
だって出会ってまだ浅いでしょ?
アプリでもやってるんじゃないかって、心配しちゃったわ」


「アプリって、出会い系みたいなものですよね?」


「そうそう!
私はアプリとかには疎いんだけど、警察の密着番組が大好きで見てるのよ
よくなりすましもあるわね」


「本当にその人って、私が気になるお客さんなんですか?」


「亜衣ちゃん、次会った時にでも聞いてみたら?その方がいいと思う」


「そうですね。ありがとうございます。」


私は気分が優れないまま、自分のロッカーを開ける。
エプロンの紐を結びながら、思わずため息が溢れる自分に嫌気がさす。


自分とは縁がなかっただけ。ただそれだけなのに…。

何度も自分の心にいい聞かせても、気分が沈んだままで何もしたくない。



沙智…私はボソッとその名前を呟いた。