「カッコいい人いないかなー」


「今日、一人だけ見ましたよ!
でも、あんまりいないですよね…」


休憩室のパイプ椅子に座りながら、バイト仲間と最近お客さんの会話で盛り上がる。

私、森永亜衣(モリナガ アイ)は、かれこれスーパーで働いて6年になる。
フリーターとして働き、いつか歌手になる夢を叶えるため、貯蓄中。

周りの友人が活躍する度に、分かりやすく嫉妬心が顔に出る。

いつまでもこのままダラダラしていたら、家族に迷惑が掛かっちゃうなー。

歌手になる夢を応援してくれている、家族の期待を裏切れない。


でも今年で26歳になるし、そろそろ自分にけじめをつけないといけない。


このままじゃダメだ…
そんなこと分かってる。


だけど、音楽が大好きだから。
歌うことが大好きだから、絶対に諦めたくない。



周りに何を言われても、私は夢を追いかける初心を忘れずに、輝き続けたい。