◆
501.会社ゴロにだって塵旋風を突き付ける
◆
たとえ国王であっても
私の欲しいものを
用意することなんて出来やしない
きらびやかな宝石でも
豪華な服飾品でも
贅沢な食事でも
華々しい地位でも
そんなものではない
私の欲しいものは
貴方だから
貴方にしか
用意することは出来ない
◆
502.星座と違って同じ時間を生きているのだから
◆
私は仕事中の貴方には会いに行かない
邪魔になることは分かっているから
それと
私は貴方に会いたいから
仕事中の貴方じゃなくて
貴方自身に会いたいから
◆
503.ヒゴタイにジュビリーを
◆
俺には君が必要なんだよ
私の技術を必要としていることはすぐに分かった
別の意味にもなってしまうと気付いた貴方は慌てている
報酬さえ仮想通貨を要求する私が
アーガイル柄の様に手を出した
超法規的措置を後ろ楯に
貴方と協力して
総力を駆使して立ち向かって
クラッシュに追い込んだ
そして
何も言わずに姿を消したから
きっと
引き留めようとしたんだろうね
だから
私はあえてふれずに
貴方の部屋の鍵を要求して
夕食のリクエストを訊ねてみた
NPOを隠れ蓑にした
ホワイトハッカーのコマンドに
煮え湯を飲まされるなんてごめんだから
オリジナルUSBブートを起動して
サーフェスウェブを越えて
ディープウェブなんて序の口
ダークウェブまで辿り着く
ブラックハッカーの貴方と
クラッカーの私で
駅の発車ベルの様に鳴り響く
警告音を静めて
ディープウェブを沈めにいきましょうか
◆
504.舞台は違えど輝く目力
◆
舞台が破壊されても
仲間を失っても
お客様が待っていてくれるから
私は舞台に立つの
だから貴方は
好きなことをやりなさい
好きなことで守れるなら
家族がいくら反対しても
私は貴方の夢を応援する
貴方の好きなことが
世界を守ることなら
腕が一本無くても踊れるわ
◆
505.一家当主 ~騰蛇のガーネット~
◆
スピードだったら誰にも負けない
真っ直ぐな行動力
もしも
裏目に出てしまったなら
元気さを一旦置いて立ち止まれば
正直さとあたたかな包容力さを
再確認してもらえるさ
◆
506.二家当主 ~太陰のアメジスト~
◆
控えめで物静かな態度と
魅力的なセクシーさ
もしも
独占欲と嫉妬深さが出てきてしまったら
鋭い洞察力と集中力で
深い愛情を少し手放せば
人間関係が円滑になるさ
◆
507.三家当主 ~玄武のアクアマリン~
◆
頭の回転が早くて豊富なアイディア力と
鋭敏かつ天然で知的な魅力
もしも
現実に鈍感になってしまうなら
個性的な居場所を見付ければ
更に人の心を惹きつけられるさ
◆
508.四家当主 ~白虎のダイヤモンド~
◆
悩みを相談されて癒したり
包容力で感謝されたり
もしも
災いして優しさにつけこまれて
振り回されてしまったら
ちょっとだけシビアにすれば
芸術的才能を発揮出来るさ
◆
509.五家当主 ~天空のエメラルド~
◆
人当たりが良く周囲には人が絶えない
オシャレで美的センスに優れた平和主義者
もしも
魅力に憧れられすぎて
本音を言えなくなってしまったら
生粋のバランス感覚で
爽やかで深い
人間関係をつくればいいさ
◆
510.六家当主 ~勾陳のパール~
◆
チャレンジ精神が旺盛で
人の心を解すことが出来る楽天家
もしも
思いつきで行動してしまって
無責任になってしまったら
決めたことを最後までやり通す
粘り強さを持てば
人生を楽しむ才能を活かせるさ
◆
511.七家当主 ~朱雀のルビー~
◆
生まれながらのカリスマ性のある気品と
備わったリーダーの風格を持ち合わせている
もしも
強い正義感と自己主張で
頑固な印象になってしまったら
一歩引いて人を励ませば
評判は更に上がるさ
◆
512.八家当主 ~天后のペリドット~
◆
柔軟な性格と臨機応変な対応力
失言さえも回避出来る要領の良さ
もしも
安請け合いをして
調子の良い奴と思われてしまったら
おしゃべりに慎重になれば
持ち前のコミュニケーション能力で
魅了出来るさ
◆
513.九家当主 ~青竜のサファイア~
◆
忍べる努力家だけれど
心には情熱だって秘めている
もしも
大人しさで損してしまったら
引っ込み思案を我慢して
もっと気持ちをアピールすれば
頑張りが周囲に伝わるさ
◆
514.十家当主 ~六合のローズクォーツ~
◆
地味で敬遠されてもおっとりマイペースに
責任感で積み上げた目標と確立した地位
もしも
尊敬の眼差しに疲れて
息抜きも上手に出来ないなら
物事を最後までやり遂げる忍耐力で
未知の体験に挑戦すれば
人生を楽しめるさ
◆
515.十一家当主 ~貴人のトパーズ~
◆
しっかりしている緻密な分析力と
目立たないけれど細やかな心遣い
もしも
気が付きすぎて
批判的になって衝突しまったら
丁寧に言えばお互い安心さ
◆
516.十二家当主 ~大裳のラピスラズリ~
◆
豊かな感受性で世話好き
鋭い直感力で困っている人に親切に出来る
もしも
周囲の影響を受けすぎて
気持ちが分からなくなってしまったら
自分の面倒を見て
客観的に行動すれば
増した魅力で慕われるさ
◆
517.古着屋の私書箱
◆
管理官と揉めて異動させられた先輩
私は違う班にいたから詳細が分からなかった
けれど先輩は無意味なことはしないから
だから管理官を調べることにした
見付けてしまった決定的な証拠
裏切ったと管理官に詰め寄られてしまったけれど
先輩の新しい上司が言った
疑ったからじゃない、信じたかったからだ
閑職に回されそうになった先輩を
私の言葉だけで
引き取ってくれたその上司
変わり者だと噂だったけれど
奇才は本当のようね
◆
518.堤防を望む小さな文化住宅の窓から誕生花が見える暮らしを写真館で
◆
20年前の所轄時代の事件なんて
覚えていないと思ったから
あえて言わなかった
奥様を亡くした貴方に
つけこむようで嫌だったから
けれど
思いとは裏腹に
貴方の方が募らせてしまったみたいね
紆余曲折あったけれど
子ども達に後押しされて
新たな命まで授かるなんて
思いもしなかったね
◆
519.そんなことぐらいで関係が変わるなんてことはない
◆
出版社で翻訳家をしているのだけれど
カフェで相席した彼とは
それからよく会うようになって
彼の愚痴とか
私の悩みとか
話すようになって
付き合うようになって
でも
ある日
神妙な面持ちで
彼が切り出したのは
異性装があるってこと
別れ話だなんて思った私は
心底ホッとして
自分の早とちりに
心底呆れた
◆
520.貴方から貰ったこの指輪を私の指にはめるのは貴方がいい、貴方でなければならないの
◆
出逢ったのは偶然じゃなくて必然ね
ぶつかって怒鳴られて謝って
手から離れてしまった白杖を
手探りで探していたら
車に乗り込む寸前だった貴方が
何の気紛れか近付いてきて
手渡してくれた
方向が分からなくなってしまった
私の行き先を聞いた貴方は
知り合いだからと言って
行き先と話をつけて
貴方のところで働くようになった
貴方は玄の旦那と呼ばれて
界隈では有名みたいだけれど
私にはとっても優しいね
貴方は父親と折り合いが悪くて
私の親戚がいる警察が嫌いだから
話題にはしないけれど
いつか言えたらいいな
私には甘い貴方が
あの匂いを
あの人が冷たくなった原因の
あの匂いを纏わせて
帰って来た時から
親戚から同僚が怪我をしたと聞いた時から
あの時のような嫌な予感がしたの
けれど
きっと親戚と仲間が貴方に辿り着くから
だから私は
あの人の命日に花を添えて
プロポーズされたのよ
と嬉しい報告をしたの
貴方が父親を許せなくても
親戚と仲間が貴方を許せなくても
貴方が許せない罪を犯しても
あの人は憎まないから
あの人は誇りを大切にするから
私は許すわ
私は貴方を待つわ
私は信じるわ
私を助けてくれた貴方が
悪い人だなんて思えないから
◆
521.異端視の任意後見人
◆
彼は一国の王子様だけれど
妾の子だと
両親に愛されていないと
配下には呆れられていると
側近には申し訳ないと
忠誠を誓われても
自分に自信が無い彼
幼少期に一緒に育った彼だけれど
彼が王子様として連れていかれた
少しして私もその場所を離れたけれど
彼が国を追われたと耳にして
追い掛けてきたんだ
彼の仲間は私を疑った
当たり前ね
私の母を父を亡き者にしたのは
彼の父親である現国王の命だったから
けれど私は知っている
彼は一番国王に相応しい
国民の為に笑い
国民の為に泣き
国民の為に最前線に立つ
歴史上稀に見ない
平和な世の前身を
造り上げるであろう彼に
彼は彼だよと
利害無く
蚊帳の外から言えるのは
私だけだから
◆
522.アシドーシスになって、アルカローシスになって、やがて平衡になる
◆
私は任侠一家の娘
祖父と姉と舎弟達と暮らしている
といっても血の繋がりは無くて
私の本当の両親は
任侠一家の組員だったけれど
母は病気で
父は抗争を止めようとして
だから幼かった私を
祖父が引き取ってくれた
姉とは姉妹のように
舎弟達とは家族のように
怪我をする舎弟達を治療出来たらと
医者になりたいと夢と目標が出来た
けれど姉は継ぐ気は無くて
けれど私には期待は無くて
だから迷惑かけないように
学費を稼ぐ為に
一旦働こうとしたんだけれど
医学部の資料を見てしまった姉と
初めて喧嘩になってしまった
けれど
期待されていない訳では無かった
余所者だからでは無かった
ただ自由に生きて欲しいと思っていたんだと
気が付けたから
◆
523.過剰防衛ぐらいが丁度良いのかもしれない
◆
貴方の告白を断ったのは
貴方が嫌いとかじゃないわ
むしろ大好きだよ
けれど私には継ぐモノがあるから
それには危険が伴ってしまうから
覚悟だけじゃ足りないから
貴方には安全に幸せに暮らして欲しいから
だから断ったの
断りたかったの
断らなければならなかったの
悲劇でも喜劇でもない
最初から物語なんて
存在しなかったの
◆
524.パラサイトの電流班
◆
転校した先で不良になって
彼に補導されて
彼には愛する人の忘れ形見がいて
懐かれて付き合って
転校前の地に夫の転勤で戻って
転校前の友達が教師をしている学校に行くなんて
不思議な縁ねと
彼と忘れ形見と笑い合う
◆
525.慈しみが通り悪魔
◆
自分のせいで
私が持っていた形見が
壊れてしまったと
悲しむ貴方
けれど
それは違う
貴方のせいではなく
形見があったから貴方を守れたんだ
形見のおかげで貴方を守れたなんて
こんな素敵なことはないでしょう
◆
526.誇れるような代償でいさせて
◆
君一人を
置いて行ったのではない
君一人の
命を守った
凄い人だ
◆
527.読心術に口付けを
◆
罪を許さない貴方は
公安委員会からも睨まれる存在
けれど
私に伝えようとする
不器用なその姿は
凄く優しい
私が襲われそうになって
駆け付けた貴方
読唇術なんてなくても
その拳は止めなきゃいけない
だって貴方は優しい人だから
優しいから赦せるはずよ
◆
528.天泣の落書きにネモフィラの祝福を
◆
メソメソして下を向いている暇があったら
大事なものを見逃さまいとして
睨み付けてまで
存在を認めて欲しいからと
至るところに落書きするのはいいけれど
もっと上手く書いてよ
あんたなら書けるからさ
なんて仏頂面を見て苦笑いしながら
喧騒を遠くに聞きながら消すのを手伝って
そんな夢物語を言って早数十年
良く晴れた爽やかな風が吹く今日は
あんたとあんたの愛する人との晴れ舞台
最後になって
畏まって頭を下げて
あんたからありがとうなんて
お礼を言われるだなんて
思ってもみなかった
けれど
ご招待した人達を見れば一目瞭然
面白そうだなと書くのを加勢したり
しょうがないと消すのを手伝ったり
早くしろよと待っていてくれたり
今ならきっと騒がしいくらいよ
あんたが築き上げてきたもんなんだから
文句の一つだってありゃしない
野暮なことは言わないから
あんたが描いた落書きという名の絆に
上手に書けたじゃないと
頭を撫でながら一言だけ添えたの
◆
529.コキアで一献を、一緒に傾けてくれない?
◆
放っておいてくれと
貴方は言った
けれど
私は放っておかないよ
大事な身体なんだから
大切な場所なんだから
貴方と居たいのだから
私は貴方と悩みたい
貴方と一緒に
人一倍溜め込んでしまう
そんな貴方だからこそ
◆
530.私がスパイだと見抜いてしまった中途半端に頭が良い自分を恨んでください
◆
一人では隠し事で
二人では秘め事で
三人以上だと隠蔽になるのかしらね
私があの人を好きだと信じた彼奴等が
私をスパイに誘ってくれたから
せっかく乗ってあげて
氷を溶かすようにゆっくりと
信頼を積み上げていく途中だったのに
情報を探り出す前に
氷を噛み砕くかの如く激しく
入り乱れた攻防戦を繰り広げたから
中の毒が回りに回ってバレるなんて
愛する人の仲間を裏切る訳ないでしょ
私が愛する人?
貴方だってずっと言っているじゃない
それに気付いてくれたのはあの人だけ
貴方は冗談はよしてくれなんて言って
取り合ってもくれなかったし
いいですよ、もう
付き合うとか考えていませんから
私の中で消化しますから
貴方が私の中で綺麗な思い出になるまで
それまで待っててください
って、なんでそんな顔するんですか?
仕方がないじゃないですか
バレたのは貴方のせいなんですから
え、違う?
じゃあ、何なんですか?
◆
531.『to be continued...』
◆
ロジスティクス発案者は
常軌を逸した天賦の才を
思う存分に発揮して
積年の欲望に果ては無く
満たす為には手段を選ばず
理性という仮面を被って
倫理を異常に振り翳し
知性という糸を操って
絡めた滑稽を嘲笑って
虫螻以下を叩き潰し
残骸には興味すら無く
喰らった偽善は腹黒さを隠さず
捧げたパフォーマンスに
壊れた憐れみを
暑気払いも実に虚しく
回路に懐炉を貼り付けて
法界は崩壊を止めず
祈りというエッセンスを振りかけ
インスペクターさえ
衝動を抑えること無く
付け届けには
アナライザーを忘れること無く
甘美なオルゴールが刻む
旋律に戦慄を覚えながら
窮愁じみた揺籃歌に酔うは
Need not to know...
象られたのはケダモノと相違なく
腐心に苦心する見まごうことなき
とても万物の霊長らしいヒトである
◆
532.陥落寸前、御愁傷様。
◆
公庁(公安調査庁)の公舎と
内庁(内閣情報調査庁)の官舎で
捜査員の動く影は絶えない
宿舎に広がる飛沫血痕は
所謂、見立て殺人を模していると
捜査本部は方針を固めた
法科学鑑定研究所は
絞殺を索条痕と吉川線と
指紋を夜の世界の名刺を用いて捜索
科学捜査研究所(科捜研)は
溺死を顔に乗っていた水に濡れたタオルと
足跡を足の大きさに比例する肘から手首までを重点的に鑑定
科学警察研究所(科警研)は
不純物に含まれる含有量の割合の一致を確認して同一と確定
死体検案書を賜って
解剖鑑定書を拵えて
死亡診断書を携えた
蟒蛇すら逃げ出して
帳尻合わせもせずに
檀家に駆け込んだ
不能犯は自首をして
中止犯は出頭をして
聾桟敷を解釈し周知した
永田町(政界)が教唆を見抜いて
霞ヶ関(官庁)が間接正犯を探り
赤レンガ(法務省)が幇助を妨害
桜田門(警視庁)は隠避を明るみに
不埒な可能性を否定出来ない以上
いや出来なかったら最後
痛い腹を探られた上に
不届き千万を許さぬ捜査をもって
紛れもない包囲網はすぐそこまで
出るのは鬼か蛇か
撃つのは豆鉄砲かミサイルか
刃が付いているだけで御の字な
危険な付け焼き刃ではない
捕まえられた手を振り解くことも
差し伸べられた手に縋ることも
窮地に陥った土壇場では
遺憾の意を示して
往なすことさえ不可能である
◆
533.細工は流流仕上げを御覧じろ
◆
夢幻泡影のような月明かりを
見上げている貴方に
眠れないのと尋ねてみた
けれど質問の答えは意図的に無視されて
代わりに俺を信じろと抱き締められた
普段の貴方からは到底似つかわしくないほどの
有り体の優しさが込められている感覚がして
うんと一言だけ返した
表面上は敵を討伐する為に集まった
けれど内面は不透明なまま
利害だけが結ぶような関係に
居心地が悪い相関図を思い描き
鈍色の盃に珮を飾って降らせた灰になる
そんな折
思いかけず一人が襲撃を受け脱落した
普段の素行と相まって
貴方は疑いの目を向けられてしまった
興味が無いのか面倒なのか
当の貴方は言い訳すらせずに
知るかよの一言で終わらせてしまった
静謐とは真逆の空気が漂う疑心暗鬼
寝静まった最中に呼び出され
一人思い上がった奴が言う
誰も信じなくていい僕だけを信じてと
奴が笑って私も笑う
含意の異なるそれは
相容れない存在だと
証明しながら執着の
終着を告げるサイン
外堀は自然に溢れベスティアの様に唸る風
内堀は不自然なほどの無言の隙間を埋めた
単なる熱光源でしかない太陽が昇り
エネミーコンベンションが繰り広げる
マスカレードが開演した
バンドル販売の様にシークエンスに沸き
享楽していたパイオニアは
奴ではなく私の家族で
集る様に私に命じてきた
高台から見下ろすのではなく
確実に見下しながら
貴方を亡き者にすれば帰還を許可してやると
天稟をモットーとして語り
滑稽なグローリーを飾り
私にオーバーラップを演じさせた
意図を持って家族の糸を手引きしたのは
無根拠に己を正当化出来るお目出度い
姦しく諳じている奴なんだろうね
頭の中で諦念と憐憫が渦巻く
私は無言で貴方に銃口を向けて
躊躇すること無く放たれた銃弾は
魔術によって転読され奴を貫いた
乖離する惨劇のストーリーを
信じて疑わなかった奴と家族は
混惑し集き足掻けば足掻くほど
酷く浅ましく滑稽で無様な傷口を広げる
恥の上塗りを頭で理解していても
目の前にピクトグラムが転がる
奇妙な光景を拭いきれないのかしら
僕は支配する側に選ばれ神から寿ぎを賜った
支配される側である粗忽なお前らを助け
諸行無常すべて正しく導かなければならない
神が定めた概念以外は神への冒涜でしかないんだ
妬く役が欲しがった訳は
出来る薬を欲しがって
厄が疫を連れてきて益を焼いた
姿態を慕い肢体は死体になって
臣従が真珠を神授し新樹で心中を望む
楽することが大好きで
力で奪えるものは何だって奪い
自分の主張を通す為に他人を傷付ける
人生の歪められた過去の記憶達が
実際に目で見える形に戻っていく感覚に
ロジカルの欠片も無いセオリーは
論いのアイロニーにすらならない
金魚鉢の金魚が鉢の外では生きていられないとしても
それを不幸だと思いもしないように
私が助けられるべき不憫でか弱い存在だと決め付けて
助けるのは自分だけだと無意識に酔っていただけね
助けなんて必要ない
勝手に不幸だなんて決め付けないで欲しいわ
幸せだと自覚しないことには成立しない
客観的な定義なんてすることが出来ない
利己的な要素が強いケミカルでしかない
死ぬことに酷く怯えながらも命の意味を探し
生き続けなければならない人間が造り上げた
浅ましい幻想と未練がましい空想でしかない
積み上げた誇りや尊厳と引き換えにして
身に付けた道徳や倫理観を裏切って
反逆のサーマルを放棄して
シャンクに永遠の忠誠を誓うなんて真っ平御免だわ
すでに関与出来る範疇を越えている
これ以上強制される覚えはないのよ
不協和音のマリアージュの迸りはもう結構
無限回廊の戯言は聞き飽きたわ
野良犬の鳴き声にしては煩すぎですね
クロアに反抗するほどの気力は持ち合わせていませんが
ラメントを受け入れてしまうほど従順でもありませんよ
そちらにだけにしか利益をもたらさない
そのような交渉に応じる気もありません
ウィークポイントを突かれた哀愁漂う臆病者の瞳には
私がクローザーに見えるみたいですね
魔術ぐらい見聞きしていたら出来ますよ
私はこれでも演技派なんですがお忘れですか?
私が人を殺したことが無いとでも思っているんですか?
タイムリーな君子危うきに近寄らず
カンデンツァに虎穴に入らずんば虎子を得ず
メリットがあるから得をしたいから
危険がないから安全だから
そんな不快で深い腐海な理由じゃない
用いた婉曲ブラフが巣食い
マスキュリンに足を掬われ悄気た奴らは
天地神明に誓っても救われない
◆
534.姫蔓蕎麦のレゾンデトール
◆
この能力は
能力者の命を奪うマイナスの能力
おひいさまなんて
メルヘンちっくな字
笑止千万
価値のない商品
売れない美術品
賛けない芸術品
継承出来るはずもなくて
手を伸ばせば届いてしまう距離にある
死を感じながら
他からみて重要か否かは
さほど問題にはならない
私にとって確実に看過出来ない
足を引っ張る存在が私なのだから
自らの意思で自らの命を放棄しようと
機会を伺い続けていたのだけれど
片道の人生
生きてきた意味はあったということね
マイナス
つまりはプラスの否定
命を奪う
つまりは生の否定
否定をする能力だから
争いを生む秘宝も
他者を圧倒する力も
争いで奪われた命も
耄碌した真柱も
晴れぬ暗澹も
途切れぬ怨嗟も
悲しい結末も
枚挙に遑がないキュビスムを
否定するのは吝かではないわ
私でなくてもいいことはあるけれど
私でなければ意味の無いものもある
そんなことしか出来ないけれど
それくらいなら私にだって出来る
精一杯生きることは悪いことではないと
今までの価値観と喜怒哀楽の全てを翻す
決断して運命を変えるのはいつだって
小さな勇気と誰かを大切に思う気持ち
能力を解放することが出来たとしても
幸せを約束出来る存在ではないけれど
過去を守る強固な盾となり
未来を切り開く双剣となり
降りかかる火の粉を振り払い
災い転じて福となりましょう
スッと息を吸い込み覚悟を決めて
韋駄天が嘆息を漏らし
寓話さえ煽惑を嗾けた
悪趣味で寝覚めが悪い
この小賢しい能力ごと
全部叩き潰し否定して
慰めに愛らしい花を一輪
手向けて差し上げますわ
◆
535.無限の布袋石は舞還のコラージュとなりし、霧弦となれりプシュケーと鬱金香は夢幻となりぬ
◆
両親とは死別してしまったけれど
愛されて祝福されて産まれてきた
煌煌たる影が照らし出した
最強と謳われる里一番の強大な力
濃い陰を理不尽に強調され
その力には到底耐えられない身体
不整合が造り出し与えた宿星
育ての親が力に耐えられるように
暗躍すらして研究していたけれど
甘すぎる毒薬を求める代わりに
相応の代償を支払うかのように
ひりつく危機が訪れても翻弄されるだけ
一つずつ大切に繋いできたピースでさえ
徐々に崩され着実に壊れて
どんどん散り散りになって
あっさり失われて残骸すら見当たらない
血の気が引いた憂き目に冥福を祈るだけ
変えられぬ特質で忌み嫌われてしまっても
陰口を罵って饒舌に浴びせていたその口で
掌を返したように平気で哀れみも口にして
吐き出されてしまっては戻ってもくれずに
無意識に湧き起こる同調という安定を望む
それでも育ての親以外の里の人々に
責任があった訳でも悪かった訳でも
誰に対しても恨みなんて無い
何に対してもあるわけがない
何故かと訳柄を問われ呼応するならば
穏便で無責任な事なかれ主義ではなく
動乱の渦中で抛擲させられた一族の
畏怖の念と威厳を知らしめるという
意見が対立しぶつかり合う喧嘩でも
守りたいが故の戦争なんかでもない
己の目的を果たしさえすればいいと
身の程を弁えずにただ虐殺を極める
福に服を着せる様に崇高な理想を掲げ
革命という名の復讐を起こした奴から
取り越し苦労が多い上に誰かが
傷付いたり悲しんだりする事を
自分のことのように思える彼と
杳々たる間者に自らなった彼と
何も出来ないくせに
腑甲斐無いくせにと
投げ出すのではなく
せめて出来ることを
幾許に足手纏いでも
切り札として里を守る為に誓約と束縛を交わした
忍従して全てを手放し捨てて
慎重に里を守るはずの行動が
真っ直ぐ動けず置き場を探し
苦しめている矛盾だらけの
現状に気付いてしまっても
それでいいんだとは
言い切れぬ行為でも
時の流れから弾き出され
変わることすら出来ずに
在るべき世界へ還る時を
一矢報いる瞬間に賭ける
私が居ないと奴を討ち取れるだけの力が存在しなくなるから
私が居なくなれば育ての親は悲しむことが分かっているから
悩む意味がないと知ったところで
悩みを忘れられる程目出度くない
そうするしかないからそうするだけ
この力なんて必要とされない世界へ
恙無く行き着く為に彼とどこまでも
幕開けはいつ倒されていたのだろうか
極限状態で並べられたドミノに
亀裂が現れ均衡が一瞬で崩れた
恐らく最初から傾いていたに違いない
渾身の力を振り絞り
バランスを維持させ
どうにか踏み止まる
僅少な防御をすり抜けて
届いてしまわないように
世界を否定し弱者を甚振り
破壊の限りを尽くせるのは
得難い世界だと気付かずに
里の為にしか生きられないなんてなと
感情の動きに合わせ表情を変化させて
憎悪を滾らせながら嘲笑い哀れんでる
奴と共に彼の亡骸と力ごと消し去った
命を投げ出し守ってもらって
私だけが生き長らえてしまう
覚めない悪夢はもう終わった
静寂の中で罪の意識に無言で押し潰され
居場所を見失った自分さえ自らで拒んで
心の底から自分を憎み自らの死を願う時
他でもない自分の気持ちに自ら嘘を付き
万物の霊長として既に死せる屍としても
世界を繋ぎ止められたのだろうか
忘れてしまいそうになる程平然と
崩壊と構築の二律背反を繰り返し
訪れた蜜月時代の最中に魅入られた
笑って笑いかけて笑い合う白昼夢は
いかに敢闘しても現実にはなれない
鍵など無くとも過ぎ来し方が施錠して
自らの手で終止符を打つことを選んだ
私は私の為に生きれないけれど
私は私の幸せを願えないけれど
私は里に縛られているんじゃない
私が里を縛り付けてしまっただけ
里に守られていた私の命は
既に私自身のモノじゃない
死ぬことすら満足に出来なかったけど
迚も斯くても里を守る為に生きられる
願っていいなら
里の為に死ねるなら
誰かが救われるなら
私が救えるなら
里を救えるなら
名前なんて残らなくていい
存在だって忘れられていい
誰にだって気付かなくていい
誰にも気付かれてはいけない
肩代わりしてもらえない孤独な恐怖を
自ら心に刻み付けてしまったとしても
平和な顕世の談笑の裏側で
袖にされる人がいるのなら
それは私でいい
私が最初から存在しなかったかのように
ずっと変わらずに笑っていてくれるなら
大切な人達が幸せでいられる世界が
後生大事に続いていってくれるなら
それで私は良い
故意で悪意的な辯解の代償は
偶然で好意的な懺悔の対価は
身に余る光栄に他ならない。
◆
536.荒唐無稽な意趣返しよ、以後よしなに。
◆
上げられた口角に不快を感じることは無く
嬉しさ云々も感じることは無く只々不可解
軽薄な優男が形作るアイシテイル
慕情を吐くその唇に口付けをした
キスが欲しいならキスをします
キスをしたいならしてください
抱き締めたいならしてください
貴方がお望みならばその先だって構いません
合意の上ですから勿論何の問題もありません
そんなことで私の心を壊した貴方の
私に近付く人達を排除する為だけの
咎の腰を折ることが出来るのならば
罪を償うことは義務ですが赦された権利でもありますし
瀟洒には程遠い私が行使可能な最善の忠告だと鑑みます
私が経験に基づく警告を述べただけなのに
理に敵わないことしか言わない現在の私は
貴方の手に入れたかった私ではないらしい
言わされているだけだろうと
頼むから違うと言ってくれと
錯綜した思考は地雷を踏んでしまって
他の言葉を忘れてしまったかのように
駄々っ子の様に有無を言わさぬ勢いで
優男の肩書が剥がれ未熟な精神を晒してまで都合の良い託種
心の動揺そのままに乱暴に詰め寄る貴方に抵抗する気はない
非論理的に否定だけを繰り返す貴方に不満を抱く訳でもない
悪意を根底に持ち傷付けながら得た過去は
確かに存在したことを永遠に証明する事実
出口が欠落した闇の中で沈んでいくように
臍を噬む報いだけが手元に舞い戻ってきた
艶やかなる脅威を映し出す鋭い凶器を手にすれば
世界に組み込まれたカードはいとも簡単に裏返る
何が起こっているかなんて至極単純で
それでも疑念を尋ねることで形にして
確かめなければ理解すら出来なかった
よもや見せ付けられたのは暴力に踊らされた痕跡
知らず知らずの内に妄想として膨らんで
歪んだレンズ越しにしか見れなくなって
降りかかる全てから守ってやればいいと
様々な悪行を気取られないよう秘密裏に
距離を置きながらも捕らえて纏わり付き
憧れの英雄気取りを望み悦に入っていた
貴方に微塵も変化が無いからこそ
私が却って際立ってしまっただけ
貴方がどんなに受け入れ難くても
戸籍上も姿形も相違無く私のまま
消えない傷を残すことを余儀なくされて
空っぽになった心は二度と満たされない
忿怒し責めることも
憎み復讐することも
謝罪を求めることも
貴方を愛することも
万に一つもないので
どうぞご安心下さい
もはや何かが始まる予兆も
終わる予感も感じさせない
素っ気なく袖を振り払うように
無欲で起伏の無い潮騒のように
瞳は瑕の無いガラス玉みたいに
澆薄で無機質な作り物みたいに
自然な違和感となって反射する
自らの幸福の為に最愛の人の幸福を破壊し
得たかった役を手に入れて
知りたかったことを知って
したいと思ったことをして
自ら閉ざした未来は過去を総じて嫌悪する
貴方は私を愛していたからこそ
物理的な距離の隔たりではなく
心の領域が重なり合うことなく
私にとって貴方が瑣末であると
追い付いた理解が敗北と絶望に
縷縷と綾なされ止め処なく浸透
悪に身を窶し善に屈して頽れた
失敬失敬と秘密の暴露が飾り立てた
ベゼルの内側こそ悉皆寔に相応しい
◆
537.宛らアルティメットエスポワールでよろしおすなぁ
◆
期待を抱かれる重み
壊してはいけない責任
背負わされる未来
望まぬまま見送るだけ
置いてきぼりの自分
観覧車に乗せられた観覧者
選ぶことの出来なかった可能性の先の未来を
恨み辛みの果ての悲しくも優しい世界を
すべて差し出してでも見て欲しいから
後は頼んだなんて一言
すべての思いが込められた短い決意を
受け止めてもらえるなんて思っていて
勝手なことばっかり
なんで私だけ生かされているの?
なんで連れて逝ってくれないの?
幸せになれなんて呪いの言葉
浜辺に描いた絵のように不安の波にさらわれ
やるせなささえ言えなかったのは
言ったところで状況が変わらないことは明明白白
どうせ分かってはくれないと早合点した訳じゃない
在り続けることだけを望まれ
神と繋ぐ為に捧げられた贄は自分の命になど目もくれず
危機感を抱えながら問題を先送りし延々と結論を引き延ばし
償いを過去にした報いを受けながら
ひたすら帳尻合わせの為だけに
歯車はクローズしながら黒い渦となり回りながら蝕み軋む
サラウンドのノイズが音量を上げ続け
不愉快な音は心をかき回し続け
どうにも出来ないからこのままでもいいと思っただけ
何をするかの共通の理解を持っているのに
向かっているのか呼び寄せられているのか
誰一人知らない
他を守れば個も守れるけれど
個を守っても他は守れない
下手をすれば全滅もあり得るけれど
上手くすれば犠牲が出ないかもしれない
妥当性がありつつ避けれない鬼一口を
先ずは御手並み拝見とばかりに
遂行しなければならないのは
御相伴にあずかる程にそうするしかないから
過ごしたかけがえない時間と
これからの未来を犠牲にし
アンパイアさえ正確に把握出来ない
今という時はひたすら転がって
脇目を振らずに落下する
わざわざ苦しくなる選択をして
旅立ちの船出を見送ってまでも
誰にも見えない細い
切れてしまうような脆い
雁字搦めの硬い
磐石な運命に抗うことは
それだけの価値がある
良い方向に変えていくのか
悪い方向へ導いていくのか
善は急げだが急いては事を仕損じる
簡単には戻れないなら
進んでも追い付けないなら
止まることさえ出来ない私ごと
闇を閉じ込めて凍らせて
喰らった暗いCRYindestructible
烏滸がましい時分
与えられた役名は
救世主という名の
◆
538.チャラい俺様エースが落とせないのは、ボーイッシュで自己完結型のツンデレさん
◆
あいつの周りには常に女子がいる
キャーキャー言って纏わりついてる
みんなに笑顔を振り撒いて
平等にしなきゃいけないって大変だなぁって
頬杖つきながら遠巻きに見つめる
けれど誘いまくってるのを知ってる
俗にイケメンと呼ばれる部類のあいつに
ナンパされて自分はモテるんだと勘違いしてる女達
実はナメられて遊べそうだなって下に見られてること
熱中してるその労力は鳥瞰すれば虚しく後悔すること
誰とでも仲良く出来るのは誰にも心を開いてないこと
艶羨あっても冷笑にはいい加減気づかないんだろうか
ファンクラブとかもあるみたいだけど
了見の狭いカーストなんてものには
自ら近付かないのが平穏無事のコツ
平伏すようにして触らぬ神に祟りなし
デートを迫られた時の決まり文句は
みんなを大事にしたいから内緒だけど今回だけ特別だよ
隠れて隠してトップ屋抜きで成立させてしまう
適度に毒々しくて甘い甘いウィスパーボイス
相変わらずの自意識過剰っぷり
権力に悪知恵が加われば最凶ね
なんで知ってるかなんて野暮
あいつが勝手にベラベラ話すからに他ならない
遊んでるとか最低とか責められても困るんだよなぁ
こっちは頼まれたから付き合ってあげただけなのに
だの
俺様らしく振る舞ってやらないとみんなの迷惑になるだろ
だの
奴と仲良さげだけど止めとけ止めとけ
お前にはもったいない
だの
お前みたいな奴と付き合えるのは俺様ぐらいだ
客観的事実なんだから光栄に思えよ
だの
自由に惹かれたのに縛りたいと望んでしまう
そんな疼く矛盾を噛み締めても
考え方に差があったとしても
様子を伺いながら同意して欲しそうに
最低じゃないよって言って欲しそうに
ユーフォリアに浸るあいつの御饒舌を聞くには何ら支障がない
女共の過剰な嫉妬を避けたくて
あいつに嫌われたくなくて
空気を読みすぎた結果の距離感に
返答の一歩が踏み出せなくても
生欠伸と共に立ち去るのが私のルーティン
それはもう堂に行ってるはずだった
九夏三伏真っ盛りのここは別館の空き教室
こいつの背に見える琉球ガラスのような窓
今や過去の産物になったであろう壁ドンで
お前を思う気持ちは誰にも負けない自信がある
とか言われたって
今更信じられる訳ないでしょ
言い寄って言い寄られて
そんな状況を見せつけられたら
興味が無いって思うじゃん
やきもち焼かせる為とか
好きになると一途になるとか
知るわけないじゃん
ドクドクと打つ胸の痛みなんかより
正当化する頭ん中の方が現実感寄り
初見殺しもいいとこ
よくよく考えなきゃ気付くことが出来ない好意なんて
甘美に酔って感覚が麻痺してなくても到底無理な話だわ
こんなに人を好きになったことはない
お前と俺が出会ったのは運命なんだよ
なんて絞り出すように言われたら
いつもの軽々しさなんてふっとんで
つか黙りこくってないで何とか言えよ
と睨まれたから
それが答えってことくらい気付けバカ
って睨み返した
◆
539.不器用な生真面目くんが恋をした
◆
機械並みに頭の回転が早く
無口で冷静沈着の文武両道
しかし無愛想なのが玉に瑕
それが周りからの俺の評価
そんな俺が一生無縁なのだと思っていた
恋というものをこの度自覚してしまった
表情筋は一切動いていないが
内心はもの凄く戸惑っている
冗談さえストレートに受け止めてしまう俺が
調べるための辞書も正解を導き出すどころか
手本にするべきマニュアルの欠片すらない恋
どこから手をつけていいのか
皆目検討もついていないのだ
合わせられないのに無意識に追った視線を
気付かれた瞬間に意識して反らしてしまう
別人になってしまったかのような高鳴る鼓動
一生懸命抑えようとすればするほど意識して
余裕が無くなり空回りしてぎこちなくなって
完膚無きまでの不器用さに拍車が掛かっても
きっと喜んでもらえるとか思い込んで突っ走って
ありがた迷惑へとねじ曲がってしまわないように
些末なことで不興を買ってしまったり
まして忌諱に触れるようなことだけは
絶対に避けなければならないし
細心気を付けなければならない
他の誰でもなく俺が責任をもって
行動しなければならないのだから
大丈夫大丈夫
俺なら出来る
恐らく出来る
多分とは怯懦
声を出すことで成功のイメージを刷り込ませよう
初めての気持ちで最初から上手くは出来ないから
どんなに弱気な発言であっても自信満々に力強く
震える声を聞き逃さないよう心内に耳を近付ける
度胸が無く威勢を張っているだけだったとしても
思いっきりやってみないと失敗かどうかも不明で
自分自身で否定してしまえば萎縮してしまうから
全然全くもって大したものじゃないけれど
などと前置きして喜んだ顔を見たいが為に
会話を盗み聞きなんて無様な真似までして
振り向かせようとしているのだろうか
好みだというものを見付けては贈り物
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花
コロコロ変わる表情は新しい本を読むように
まだ知りえない世界の示す片鱗に触れられる
然りとて俺が変わる為の材料ではない
新たな想いや感情を生み出し
満ち溢れる愛おしさに対して
全力で向き合っていきたいと
思えてしまう必要不可欠な人
積極的に掴み取れ無くても
消極的で後悔を残すのなら
エトセトラ割りきれずとも
パンジーに降り注ぐ春時雨
難解の怪なら何回でも解を
偏に明かし続けてみせよう
◆
540.石の意志を持ったセクシーな小悪魔は蛇蝎をLandscaping
◆
「おつかれさま!」と彼にメールを送った。
1分経っても返信が無い。
「もしかしてまだ終わってないの?」ともう一度メールを送ってみた。
仕事が忙しいって言う彼の望み通りに、私から会いに行く為に。
「いつ終わるの?」
まだ彼からは返信が無い。
「もしもーし!」
前にSNSを更新してるのにも関わらず、私へのメールの返信を忘れてたことがあった。
うっかりだったって。
「おーい!」
寝る前に電話し忘れて寝てしまった時も。
私を騙して会社の飲み会に行ったことも。
仕事のことだって話してくれないことも。
全部ぜーんぶ許してあげたのに。
「無視なの?」
放置されるのは好きじゃないどころか大嫌い。
私は彼を愛してるからこそ彼に合わせようとしてるのに。
私ばっかり我慢して彼は何故私に合わせてくれないの。
「わざとスルーして焦らしてるの?」
二の矢三の矢を放つけど、SNSの更新も無ければ本命であるメールの返信も全く無い。
「なんで返信してくれないの?」
私を愛してるならいくら仕事が忙しくたってメールの返信ぐらい出来るよね。
ってゆーか、するべきでしょ。
「私のこと嫌いになったの?」
まさかまさか。
不安で不安で堪らない。
彼の口から愛してるって聞きたい。
目の前で抱き締めて納得させて。
私を満足させてよ。
「一体何をしてるの?」
彼の友達は全員把握してる。
だからもれなく連絡したけど誰も彼も知らないって言ってる。
私をこれだけ不安にさせておいて、友達にまで迷惑をかけるなんて。
彼の理不尽な自己中っぷりに怒りで倒れそうだわ。
「誰かと一緒にいるんでしょ?」
私に内緒で彼が誰かと会ってるなんて、恐怖心を煽って背筋を凍らせるだけの稚拙なホラー映画でしかない。
「誰と一緒にいるの?」
指し示してるのは私の知らない場所。
GPSじゃやっぱり駄目だったみたい。
私のモノだってことを重々認めさせて、
私を裏切ったことを後悔なんて生ぬるい。
謝罪と土下座とプレゼントだけじゃ気なんて済まないから。
私が監視してちゃんと彼を管理しなくちゃ。
「浮気は許さない」
絶対に許さない。
「今から行くから」
絶対に逃がさない。
ビードロには卯の花腐し。
忌みに意味など愚蒙だわ。
気位が高い私が被った鞠問の正解はたった一つしかない。
◆
541.やんちゃで元気な後輩は従順なワンコではなく狡猾なUnreliable narrator
◆
女の子ウケするお店や流行りスイーツのチェックは欠かさない
俺のステータスが活かせるなら名目は何でもいい
「お勧めの店があるんだけど、一人じゃ入れないんだよね。」
知ってるけど知らないことにして情報を巧みに操ってみせる
ウイークエンドは一緒が必須条件
「今週末空いてるよね。教えてもらったお礼をしたいんだ。」
グレーな言葉で意向をねじ曲げドタキャンの意思を貫く
気乗りしない時は先延ばしが当たり前
「仕事が忙しいんだよね。落ち着いたらな。」
会いたい時に会って割り切って自由気ままに軽いノリで生きるのがオレ流
「時間出来たから今から行くわ。・・・いや、そっちが来た方が早いから来いよ。」
想像に任せてプロミスリングなんて以ての外
大人な関係なんだから言わなくても理解しろよ
泣いてすがりつくように依存して
ナチュラルハイを押し並べて
盈虧よろしく泥沼に引きずり込むな
「『私達付き合ってるの?』なんて答える必要性ある?付き合ってるようなもんだろ。」
ある日やってきたhorrible嚮導
全女の代表格のようで突飛に現れた宇宙人のよう
手弱女なんて甚だしいことこの上ない
チェックした証拠をあえてカウントずれに突き付けて
チェックメイトばりにまくし立てながら迫りくる
velvetがお似合いのどんなdonnaがせがもうと
俺の与り知らないとこならば心底気分が悪い
都合の良いお前らとは楽しい話だけしたいんだ
話し合いなんて面倒くさいし堅苦しいだけだろ
体を引き裂かれたような痛みを覚えたような
弁えもせず恰も私傷付きましたってな顔して
俺を無責任とか責めてグチグチ言うんじゃねーよ
そんなことよりまずは傲慢を顧みて反省ぐらいしてみせろ
浮気されるような自分に非がなかったかどうかをよぉ
無理矢理に暴くことを暴力ってーの
その頭では到底理解出来ねーだろうけど
「俺のこと嫌いなわけ?」
『き、嫌いじゃないけど』
それが正しい答え
泥犂のようにネガティブに俺を疑い
周りの空気まで不機嫌にさせたこと
俺との関係を続けさせてやってるのに
俺に横暴な態度を無鉄砲に取ったこと
俺という存在がいなければ
お前の存在すら地球の損にしかならないこと
その現実をまずは認めろ
話はそれから
日常を脅かされた身であっても
俺は寛大な心を持ち合わせてるから
やっと気付けた己の間違いに許しを乞われたら
蛙鳴蝉噪な謝罪であっても受け入れてやろう
「それならいいだろうが。」
凡人などには決して味わうことが出来ない人生‐ゲーム‐
汚点‐リスク‐を矜持‐チャンス‐に変える術‐スキル‐を見出だして
遥か高みに登って搾取する側に回って手に入れた戦利品‐ルール‐
傀儡に出精値引‐コンフィデンシャル‐を承服させてしまえばいい
戦略‐レベルアップ‐の総ては自分が楽しめるか否か
場末の濫觴‐クライム‐を肴に司法取引に色を付ける
何かを得るのに何かを破棄‐サクリファイス‐なんてあり得ない
歪な形で継続させた違和感さえ
上書きで手打ち抹消して糜爛も
やがて馴染ませるインサニティ
ドルチェは異様な威容でいよう
ウイークポイントは掌握下に入れ
プライオリティは下げることなく
スタッグ・ナイトは終わらせない
◆
542.清楚な癒し系の真贋はアンサングセキュア
◆
彼はものすごく忙しい仕事をしている
ずっと忙しそうだけど大丈夫?
とか
体調崩してない?
とか
疲れてない?
とか
何か困ったことはない?
とか
もし悩んでいることがあれば相談に乗るよ?
とか
心配で心配で思い浮かべたままの言葉が
矢継ぎ早に口を衝いて出ていってしまう
けれど彼は必ずといっていいほど笑って大丈夫と言う
しつこくして嫌われたくないし
彼の笑顔を信じ寂しい気持ちも我慢して
私は笑顔で行ってらっしゃいと見送るの
信じたいなんて多分彼の為だけじゃない
彼が本当はどう思っているのか
もしもそれを知ってしまった時
傷付いてしまうのが怖いだけ
だから彼に限って大丈夫だからと願ってしまう
そうであって欲しいことばかり
自分の都合の良いことばかりを
けれどそんなの杞憂だった
会えない時は私のことを考えてくれて予定を事細かに話してくれる
落ち着いたらデートしようねって寄り添ってくれる
少しだけ時間が空いたんだけど会えない?って誘ってくれる
我が儘かもしれないけれど忙しくても会いたいって言ってくれる
一度勇気を出して理由を聞いてみたら
ちゃんと付き合っていきたいからだって
忙しいことを理由にして会いたくないだけでしょなんて疑われてしまったから
もう離したくないから誠実にしたい
先のスケジュールまで決めておけば頑張れるからだとも言っていたなぁ
休める場所があるんだと思えば辛くてももう一踏ん張り出来るんだって
もし体調が悪くなっても彼が眠るまでそばにいよう
私が病気の時に不安になるからかもしれないけれど
少しでも安心して彼が羽を休めるようにしたいから
心配で待っているだけじゃなくて
会いたいってお誘いもしてみようかな
◆
543.純粋無垢な無自覚ちゃんなら外堀から埋めてしまおう
◆
彼女はまるで秋桜の精製水
人を疑うことを知らず
騙されやすいのが難点
諦めの悪い遊び上手な奴とか
へこたれないストーカーとか
デリカシーの欠片も無く
いい加減なデタラメが蔓延って
断ろうものなら非難轟々
だから確実に振り向いてもらうには
全力で自覚してもらうしかない
まずは王道の連絡先交換
いい感じに撮れた写真の送信か
物の貸し借りに際した約束事か
どの口実が一番自然だろうか
親近感と相性の良さは大切
一撃必殺で木っ端微塵だけはごめんだ
関係が崩れてしまうようなヘマはしたくない
会話にも細心の注意を払う
知って欲しすぎてしてしまうであろう自己アピールは控えめに
興味が無いと思われないように自慢話や悩み相談もお互い様で
重くなりすぎない程度に
他の男と差をつけることも忘れない
中身や具体的な行動を素敵だと伝える
簡単な外見だけじゃなく内面を褒めるのは
全てを理解し見ているという意思表示
一緒にいると時間を忘れちゃうとか
話をしていると落ち着くとか
誰にでもなんでしょとか
勘違いしちゃうとか
安心感を与えるフレーバーを散りばめつつ
彼女のちょっとした態度や行動にも気を配る
インストゥルメンタルのニッチ戦略
飲み会とかはマッチポンプを最大限に活用
隣の席をキープしたりそばに行ったり
自分だけが知っている一面をさらっと話題に出して
仲の良さを皆さんに惜しげもなく披露する
但しアプローチはあくまで然り気無く
冷やかされたり茶化されたり揶揄われたりして
彼女が気まずくならないように配慮して
そしてだんだん徐々に
特別な対応を明らかに増やしていく
対応の違いを見れば一目瞭然
周りから見て分かりやすいを目指す
人伝に好意が伝われば間違いないから
男っていう生き物はね
心を許した女性にしか弱音を吐かないものなんだ
人前では気を張っているからね
ほんとに癒される
楽しそうに笑ってくれるとこ好き
君が彼女ならいいのに
伝えるのは二人きりの時だけ
短時間でも一気に畳み掛ける
好きなんだ
ひと目惚れさ
話しているうちにもっと好きになったんだ
僕とお付き合いをしてくれない?
君の美しさに照れた空の顔と
同じくらいに赤に染まる君の
返事を聞かせてくれないか?
◆
544.因果律のLyricsMarblingHightide
◆
誰にも話せないことがあった
けれど勇気を出して話してみた
辛かったね
苦しかったね
と抱きしめてくれた
付き合っているのに全く頼ってきてくれないから
俺って必要とされていないのか?って不安になっていたんだ
難なくこなしているようにみえて
実はとても努力という努力をしていて
そのせいで自分自身を追い詰めてしまう
肩の力の抜き方を知らなくて息抜きが上手にできないほど不器用なくせして
俺の負担にならないようにって健気さが伝わってくるからこそ
逆に俺の前だけでは甘えて欲しかったんだ
いくら俺が助けたいと思っていても
助けてって言ってくれないと助けられないんだ
この違いはとてつもなく大きいんだよ
俺に言ってくれて本当にありがとう
自分だけの価値観で理想通りに変わって欲しいなんて押しつけたりはしない
辛い時こそ受け入れて寄り添ってくれて安心を与えてくれる
特別な才能がある訳でも凄い特技を持つ訳でもない
どんな私を知っても好きな気持ちは揺るがないと言い切る物好きで
話を疑わず真摯に聞いてありのままを理解し認めてくれる
何も言わなかったのは
何も言えなかったのは
信用してなかったからじゃない
ただ心配かけたくなかったから
自分だけでどうにかしなきゃって思い上がっていた
逃げたという記憶が深く刻み込まれてしまうのが怖かった
気付けなかったことを気付かなかったことにしても
持っていたはずのものさえいつの間にか失くしてしまって
見えてくるようになって精神的な呪縛にどんどん変わって
ダニング=クルーガー効果で生み出された
ガスライティングのほとぼりが冷めることはない
後から目にしたものがそれまでのイメージと入れ替わり
偽物の真実として置き換わってしまう
いくら私が変えようとしても
私自身が受け入れようとしなければ
何も起こらなかったのかもしれない
世界が変わったかどうかは分からない
彼に変えてもらったのでもないけれど
私自らの意思で変わりたかったのは確か
彼が鍵がかかっているか否か確認さえしなかったのは
私自身が心の扉を開けなくては意味がないから
私を傷付けたトラウマな言葉達は
彼にかかれば私を癒す魔法となる
触れ合うあったかい体温に白雨は止めどなく降り
彼に愛されて大事にされていると感じる
静まりかえる空間にLose one's life.‐心を圧迫するような感覚‐はもう見当たらない
安らぎを覚える癒しの光景に囲まれて
ゆっくり歩む人生の豊かさを教えてくれるように
乗り越えた後にしか出ない美しい虹が
真打のイマジナリーフレンドを払拭し
けちな記憶を新たに上書きしてくれる
帰ってくる場所があると分かったから
恐れずに何処へでも行けると思えたよ
◆
545.タニマチメセナはオレンジ色のマリーゴールド
◆
好きな子が悄然たる後ろ姿で悩んでいたら
俺がいるから大丈夫って守ってあげたくなる
間違えたら一巻の終わりなんてないよって
失敗の選択肢を選んだっていいんだよって
外様で頼まれてもいないのに
踏み込んだら無神経なんだろうかと
葛藤にちょっとだけ揺れたけど
贔屓と呼ばれても瑞雨のように
無理をせず帰った方がいいって
今日は少し休んだ方がいいって
君は女性なんだからと制止する
普段から負けず嫌いで
周りに負けないようにって張り合って
無根拠でも頑張らなきゃと思わせてくれる
そんなバイタリティを持ち合わせていて
すべてが肝入りのように無茶しすぎる人だから
誰かに助けてって
分からないことを教えてって
そう言うのは悪いことではないんだと
誰かと協力してみたら
案外簡単に出来てしまうこともあるかもしれないから
凄い人が最善を尽くしてみても
一人で出来ることには限界がある
一面だけに捕らわれ固執し
そういう発想さえ端からなくしてしまって
その奥にある成長を見逃してしまわないように
話はいくらでも聞くし力になれることなら何でもする
立つ場所が変われば新しい目線で見える景色も違ってくるはず
すぐに答えを出そうとアドバイスなんてせず
時間をかけて一緒に悩んで解決していこうよ
もう無理して演じなくていいように
不真面目ではないけれど真面目でもない僕であっても
自分の知識を伝えてそれを役立ててもらい
飲み込みも覚えも早くて教えがいがあって
今まで出来なかったことが出来るようになる
その実感を得てもらえるのは喜びでもあるから
真剣に彼女と向き合えば遠回しなアプローチであっても
誠実な印象が伝わり相性が良いと思ってくれる気がして
もっと具体的に頼ってもらいたくて告白をしたら
はにかんでくれた君と晴れて付き合うことになった
けれど気持ちは変わらない
君に喜んで欲しくて楽しいと思って欲しくて
見栄を張ってでも人気のお店とか絶景の夜景とか
頑張ることも待ち合わせで待つ時間も
君の為なら苦労でも苦痛でも何でもない
ブランチの予定だけだったんだけど
もうほんのちょっと一緒にいたくて
たとえ愚痴でも君の話が聞きたくて
分かち合える思い出の記憶の時間は
一秒だって無駄になんかしたくない
色々と理由をつけて引き留めても
翠雨のような君は無邪気に笑って
無条件にいいよって言ってくれる
一緒に行きたいと思った場所に
一緒を望んでくれて来てくれる
ローリスクハイリターンなんて
悲しい程に否定するのは難しい
確定された未来じゃ希望がない
不確かな未来ならば願望はある
信じる未来を忘れずにいられる
手を繋がなくてもキスをしなくても
君といるだけで僕は
◆
546.Neroなヴェネツィアン・グラスにBiancaのダリアを飾る
◆
彼はモテる
とてつもなくモテる
顔はイケメンと騒がれる部類だし
クールあんどビューティーみたいな
私とじゃ到底釣り合わないし
勝算なんて皆無だけれど
諦めるなんて出来なかったから
玉砕覚悟で告白したら
なんの奇跡かオッケーだった
だから不安になる
だから心配になる
奇跡が起こってしまったからこそ
現実と向き合わなければならない
ディスカウントよろしく釣った魚に餌をやらない
目に見える愛情表現がほとんど無い寡黙さんだから
けれど
偶然出くわした場面で
盗み聞きするようにして聞こえた
私以外と付き合う気もなければ出かける気もないから
なんて昂然たる口ぶりではっきり断ってくれた
言葉で気持ちが上手く伝わらなかっただけ
どれだけ好きか分かってる?
辛そうな顔をしながら言われて
どこかの少女漫画みたいって現実離れ
いつまでも自分を好きでい続けてくれる
そんな安心感を感じ取って更に惹かれる
あんまり優しくないし慰めてもくれないけど
何が一番私の為になるかを考えてくれていた
暫くの間忙しいから連絡できなくなる
落ち着いたらするって言ってた彼から
今日仕事終わったら少しだけ会えない?
なんて唐突に連絡がきた
嬉しくて嬉しくて即返信をして
ドキドキしながら待っていたら
私が彼を遠目に目視して約数秒
真顔プラス無言で抱き締められた
カチコチの体と沸騰しそうな頭で
どうしたの?と一言だけ聞いたら
自分勝手は重々承知しているんだけど
全然会えなくてもう我慢の限界なんだ
なんて
恋は長所を見つけることらしい
愛は短所を認めることらしい
見つけたのは
彼は不器用なだけで心を開いてくれていること
認められたのは
モテる彼は本当の彼じゃなかったってこと
エンゲージリングとマリッジリング
それだけでは証になんてなりはしない
◆
547.市街に死骸が溢れても詩鎧で詞凱を上げる為にはDyingWishにしておくのは極めて惜しいから
◆
自分の出来ないことを実行し出来る人を尊敬して
刺激を求め新しい世界を見たいという強い好奇心
改革への興味や冒険に出たい欲求を無意識に宿す
出来るならば己で選択肢を切り開き
理想を追い求めたい人は少なくない
長年の思い込みと劇的な変化のリスクを壊しつつ
道なき道を実際に創造し達成出来る人は多くない
右往左往する現実に不満や葛藤を覚えても
オリジナリティな提案があるわけでもない
実際を知らないからこそ好き勝手に言える
繰り返される似たような毎日も
全く同じ日だということはなく
ほんの数秒先のことでも何があるかなんて
楽しいのか辛いのか出会うのか別れるのか
得るのか失うのかそんなもの知る由もない
戦慄すべき驚異に満ちた失敗だったとしても
再び立ち上がれる柔軟性こそが幸せへの近道
好きを捨てるのではなく魅力が伝わるように
嚮後幸運が訪れるようにと今を犠牲にしても
未来にかけたいと願いたくさんの種を蒔いた
いつかいろんな実が成ると信じて
その強い想いは深く息づいていく
やってみて行かなければ分からない
止めてしまわずに行けば分かるから
生きることで可能性にあふれている
勝者も敗者もノーサイドになった結末を
見届けた先に見出だすものを歓喜という
覆っていた見えないカーテンが外されて
クロスフェードする未知の領域が明ける
絶望で昨日までを呪う強さを有難く受け入れるか
希望で明日からを願う弱さに尻尾を巻き逃げるか
停滞は熟成期間だから焦燥感を抱く必要はないが
命をすり減らす感覚は生を烈しく自覚させられる
訪れる軋む音にも素知らぬ顔で
限界まで気付かないふりをして
目の当たりにした加護の崩壊に
何が原因でどこで間違ったのか
責任を追及して押し付け合って
最終的には神の意思で運命だと
表面上だけ理解したつもりの手向け
謝罪の裏に隠された本心などは結構
願わくば居直り同志の再会は地獄で
建国の父が残す爪痕と君主の母が負う傷痕
三者三様の死に様より百人百様の生き様を
絶妙に微妙な画家に描かせようじゃないか
不幸中の幸い程度にしかならない予断を許さない状況ではございますが
皆々様どうか虎が雨にならぬよう思う存分暴れようではありませんか?
◆
548.音の暴力は止めてください。
◆
奇声の擬音はギャーギャー。
足音の擬音はドタバタ。
跳び跳ねる擬音はドシンドシン。
椅子を引く擬音はズズゥーン。
扉の開ける擬音はガラガラギィー。
扉の閉める擬音はドンガチャンバッタン。
物が投げつけられる擬音はゴッドカッ。
蛇口を捻る擬音はキュッキュッ。
水が流れる擬音はジャーーーッ。
五月蝿いですか?
騒音ですか?
子供のすることだから仕方がないですか?
子供だから我慢しなければなりませんか?
生活音だから気にするのは神経質ですか?
自分も昔は子供で
迷惑をかけながら育ってきたのだから
我慢しなければなりませんか?
違いますよね。
自分の子供であっても
五月蝿いと感じる人はいますよね。
それなのに。
全くの赤の他人が
五月蝿いと感じない訳無いですよね。
そんな野蛮に育った憶えも謂れもありませんが。
家の中で走り回ってはいけないですよね。
家の中で跳び跳ねてはいけないですよね。
物は大切に使わなければいけないですよね。
野生の動物は躾られていませんよね。
でもペットは躾ますよね。
人間社会で暮らす為です。
人間の都合でもお互いに寄り添う為です。
お隣の犬は吠えますが飼い主がきちんと叱ります。
飼い主は挨拶もきちんとします。
目の前の一軒家は正反対ですが。
挨拶も無く状況も分からない相手が
四六時中何かしらの音を出している。
今までの方達は何も無かったのに
突如開始されたミシミシ地震地獄。
どんなに不気味か理解出来ますか?
自分を肯定出来ず他人を貶め誉める事が出来ず
相手の気持ちや状況すら推し量ることが出来ず
とてもじゃないですが怜悧とは言難いでしょう。
社会や皆という然も尤もらしいことは
虎の威を借る狐でしかありませんね。
更に咎められでもしたら狭量とか偏狭とか
社会のせいにして正当化するようですが。
暗渠の無法地帯を飼い慣らすことは螻蛄と同じ。
耳栓なんて気休めにもなりません。
音楽なんて楽しむ為に聞くものです。
それらは無理矢理シャットアウトさせたに過ぎません。
いや、シャットアウトすら何故しなければならないのでしょうか。
最終手段は引っ越ししかありませんか?
被害者が被害を被っているのに更に被らなければなりませんか?
思いやりがあるからこそ
告げ口のような悪くなるような
そのようなことは言いたくないのです。
言葉にしてしまったら受け止めてしまって
悲しむ人もいるのを理解出来ているから。
だからプロフェッショナルにお任せしなければならないのに
他人事で形のみ調査だけで誠心誠意の欠片も見当たらない。
返信も謝罪も改善も無いのならば
通報しても良いということですね。
証拠ならば問題ない程にありますからね。
安らぐはずの家で精神崩壊を促すのですか?
現在進行形で垂れ流しているのは
誰かに誇れる音ですか?
それとも劣る音ですか?
優しい音を奏でてくださいますか。
子供は五月蝿いです。
静かな子供もいます。
大人は大抵静かです。
大人も時に煩いです。
お互い様というのは想い合う相手が存在し
夏のふとした瞬間に感じる涼しさのように
冬のホッとした時に感じる暖かさのように
神以て成り立つお気遣い痛み入りますと。
◆
549.お客様は神様とは烏滸がましい限りですが、報連相が無いのは厚顔無恥も甚だしくはございませんか。
◆
問い合わせメールを送った。
二週間経っても返信が無い。
三週間経っても返信が無い。
四週間経っても返信が無い。
ホームページを調べて協会にも
問い合わせのメールを送った。
そしたら数日後返信が一通だけ来た。
全世帯を隈無く調べた。
改善するように話した。
こちらは対策を講じた。
改善しないなら解約するように言った。
まだ何かあるなら当人同士で話し合え。
気持ち悪い気持ち悪い。
何故?何故かというと。
最初にメールを送った時点で相手には話をしていた。
と仰るが今回以外に返信が全く以て無かった理由は?
全世帯を調べたわりに住民間の話題に上らない。
改善対策どころか相手から謝罪の一言すらない。
当然ながら問題はひとつも解決などしていない。
当人同士?責任転嫁に職務放棄を上塗りですね。
まだまだ恨みが憎しみに変わる程にありますよ。
水道の基本料の免除の連絡ありませんでしたよね。
駐輪場が滅茶苦茶になっていても放置なんですね。
突発停電に原因究明も管理者としてしないのですね。
家賃は非課税であることまさか知らなかったですか。
現状維持などと御託を並べた恩着せがましい回覧板。
誰でも理解出来る文面で明記されていたにも関わらず
重要な文章に届く前にデジタルは捨てられてしまった。
係争中につき答を差し控えなければならない事もない。
勝手に身を引いてもケジメを付けたことにはならない。
今まで何の面倒も見て貰っていないのだから
今更迷惑をかけても問題はありませんよね。
大々的に何かしらで警告せざるを得ませんね。
そうしたくはないというニュアンスを含んでも
居抜き物件よりもお粗末ならば止むを得ない。
メタフィクションの試写会でシンパサイズを。
咎めないから二度と現れるなと視線を差し向けたい程に
怨憎会苦は証拠も問題も依然として山積し続けている。
◆
550.恐み恐み申すと祭服で口承を執行うはフォークロアではなくリアリティー滴る陳腐なノンフィクション
◆
仕事が順調そうとか
子供がいるからとか
充実してそうだとか
幸せそうだったとか
そうで無く
なんで話してくれなかったんだとか
気付くことが出来なかったんだとか
きっと違う
誰にも気付かれたくなかっただけ
死にたいじゃなくて消えたいだけ
皆が抱いているイメージの人でいたかった
和気藹々な時だけは何も考えたくなかった
些細なことで迷惑なんてかけたくないから
紙一重で目指すのはいつも通り
無意識にポツリと呟いた言葉達
虚しく響く大丈夫なんて空元気
魔法の呪文なんてのは得てして
独り言つだけで成立してしまう
本人が思っているほど大丈夫じゃない
本人が言えば言うほど信用はしないで
ただ単に言い聞かせているだけだから
誰かが絶対に見てくれているからなんて
弛まぬ努力をすれば報われると押し付け
見えないところでしても誰も見てはくれない
奇跡的に見たところで何も感じてはくれない
粗探しではなく掘り下げているだけと宣って
眠らない方が閃くことがあると平気で嘯いて
信じ続ける真実は知りたくもない事実と化し
がむしゃらな結果に裏切られる羽目になって
それが当たり前になる裏で
アピール上手が蔓延るだけ
休んだり引き返したり諦めたり
雁字搦めを解きほぐし手放して
新たな道を探すことが最善の策
けれど他でもない自分自身の過剰さによって
生じた迷いから排除した選択肢が行動を縛り
妥協案すら思い浮かばないのは致命的な障碍
自分と他人による二正面作戦
剣先を軽やかになど躱せずブラインド
尽きているのに無理矢理奮い立たせた
それを回復の兆しと誤解し動き続ける
決して完治した訳ではないのだから
何かの拍子にいとも容易く開いた傷
知ってしまった幸せが最大の不幸で
根元から折れてしまったルドベキア
脆弱を嘲笑うことすらなく
諸刃の剣は眼中にさえなく
分かったつもりでいたけど
何一つ分かっていなかった
他の誰よりも長く傍にいたのに
ちっとも近付けた気がしなくて
全く心の思考が見えていなくて
追い込まれたことすら認識せず
合祀出来ぬままに自我は遠退く
死にたくなる理由なんてずる休みと同じ
ヒビだらけの心の隙間に打ち込まれた楔
最期の一線を越えるなんて大それている
留められるスイッチなんて有りはしない
死ねば行かなくていいんだって
面倒をやらなくていいんだって
一瞬魅せられ思ってしまっただけ
一瞬すると思ってしてしまうだけ
一瞬すると思ってしなかっただけ
判断能力など気に食わない程無いに等しく
私が今生きているのは単にしなかっただけ
ただそれだけのことで
そんなものでしかない
501.会社ゴロにだって塵旋風を突き付ける
◆
たとえ国王であっても
私の欲しいものを
用意することなんて出来やしない
きらびやかな宝石でも
豪華な服飾品でも
贅沢な食事でも
華々しい地位でも
そんなものではない
私の欲しいものは
貴方だから
貴方にしか
用意することは出来ない
◆
502.星座と違って同じ時間を生きているのだから
◆
私は仕事中の貴方には会いに行かない
邪魔になることは分かっているから
それと
私は貴方に会いたいから
仕事中の貴方じゃなくて
貴方自身に会いたいから
◆
503.ヒゴタイにジュビリーを
◆
俺には君が必要なんだよ
私の技術を必要としていることはすぐに分かった
別の意味にもなってしまうと気付いた貴方は慌てている
報酬さえ仮想通貨を要求する私が
アーガイル柄の様に手を出した
超法規的措置を後ろ楯に
貴方と協力して
総力を駆使して立ち向かって
クラッシュに追い込んだ
そして
何も言わずに姿を消したから
きっと
引き留めようとしたんだろうね
だから
私はあえてふれずに
貴方の部屋の鍵を要求して
夕食のリクエストを訊ねてみた
NPOを隠れ蓑にした
ホワイトハッカーのコマンドに
煮え湯を飲まされるなんてごめんだから
オリジナルUSBブートを起動して
サーフェスウェブを越えて
ディープウェブなんて序の口
ダークウェブまで辿り着く
ブラックハッカーの貴方と
クラッカーの私で
駅の発車ベルの様に鳴り響く
警告音を静めて
ディープウェブを沈めにいきましょうか
◆
504.舞台は違えど輝く目力
◆
舞台が破壊されても
仲間を失っても
お客様が待っていてくれるから
私は舞台に立つの
だから貴方は
好きなことをやりなさい
好きなことで守れるなら
家族がいくら反対しても
私は貴方の夢を応援する
貴方の好きなことが
世界を守ることなら
腕が一本無くても踊れるわ
◆
505.一家当主 ~騰蛇のガーネット~
◆
スピードだったら誰にも負けない
真っ直ぐな行動力
もしも
裏目に出てしまったなら
元気さを一旦置いて立ち止まれば
正直さとあたたかな包容力さを
再確認してもらえるさ
◆
506.二家当主 ~太陰のアメジスト~
◆
控えめで物静かな態度と
魅力的なセクシーさ
もしも
独占欲と嫉妬深さが出てきてしまったら
鋭い洞察力と集中力で
深い愛情を少し手放せば
人間関係が円滑になるさ
◆
507.三家当主 ~玄武のアクアマリン~
◆
頭の回転が早くて豊富なアイディア力と
鋭敏かつ天然で知的な魅力
もしも
現実に鈍感になってしまうなら
個性的な居場所を見付ければ
更に人の心を惹きつけられるさ
◆
508.四家当主 ~白虎のダイヤモンド~
◆
悩みを相談されて癒したり
包容力で感謝されたり
もしも
災いして優しさにつけこまれて
振り回されてしまったら
ちょっとだけシビアにすれば
芸術的才能を発揮出来るさ
◆
509.五家当主 ~天空のエメラルド~
◆
人当たりが良く周囲には人が絶えない
オシャレで美的センスに優れた平和主義者
もしも
魅力に憧れられすぎて
本音を言えなくなってしまったら
生粋のバランス感覚で
爽やかで深い
人間関係をつくればいいさ
◆
510.六家当主 ~勾陳のパール~
◆
チャレンジ精神が旺盛で
人の心を解すことが出来る楽天家
もしも
思いつきで行動してしまって
無責任になってしまったら
決めたことを最後までやり通す
粘り強さを持てば
人生を楽しむ才能を活かせるさ
◆
511.七家当主 ~朱雀のルビー~
◆
生まれながらのカリスマ性のある気品と
備わったリーダーの風格を持ち合わせている
もしも
強い正義感と自己主張で
頑固な印象になってしまったら
一歩引いて人を励ませば
評判は更に上がるさ
◆
512.八家当主 ~天后のペリドット~
◆
柔軟な性格と臨機応変な対応力
失言さえも回避出来る要領の良さ
もしも
安請け合いをして
調子の良い奴と思われてしまったら
おしゃべりに慎重になれば
持ち前のコミュニケーション能力で
魅了出来るさ
◆
513.九家当主 ~青竜のサファイア~
◆
忍べる努力家だけれど
心には情熱だって秘めている
もしも
大人しさで損してしまったら
引っ込み思案を我慢して
もっと気持ちをアピールすれば
頑張りが周囲に伝わるさ
◆
514.十家当主 ~六合のローズクォーツ~
◆
地味で敬遠されてもおっとりマイペースに
責任感で積み上げた目標と確立した地位
もしも
尊敬の眼差しに疲れて
息抜きも上手に出来ないなら
物事を最後までやり遂げる忍耐力で
未知の体験に挑戦すれば
人生を楽しめるさ
◆
515.十一家当主 ~貴人のトパーズ~
◆
しっかりしている緻密な分析力と
目立たないけれど細やかな心遣い
もしも
気が付きすぎて
批判的になって衝突しまったら
丁寧に言えばお互い安心さ
◆
516.十二家当主 ~大裳のラピスラズリ~
◆
豊かな感受性で世話好き
鋭い直感力で困っている人に親切に出来る
もしも
周囲の影響を受けすぎて
気持ちが分からなくなってしまったら
自分の面倒を見て
客観的に行動すれば
増した魅力で慕われるさ
◆
517.古着屋の私書箱
◆
管理官と揉めて異動させられた先輩
私は違う班にいたから詳細が分からなかった
けれど先輩は無意味なことはしないから
だから管理官を調べることにした
見付けてしまった決定的な証拠
裏切ったと管理官に詰め寄られてしまったけれど
先輩の新しい上司が言った
疑ったからじゃない、信じたかったからだ
閑職に回されそうになった先輩を
私の言葉だけで
引き取ってくれたその上司
変わり者だと噂だったけれど
奇才は本当のようね
◆
518.堤防を望む小さな文化住宅の窓から誕生花が見える暮らしを写真館で
◆
20年前の所轄時代の事件なんて
覚えていないと思ったから
あえて言わなかった
奥様を亡くした貴方に
つけこむようで嫌だったから
けれど
思いとは裏腹に
貴方の方が募らせてしまったみたいね
紆余曲折あったけれど
子ども達に後押しされて
新たな命まで授かるなんて
思いもしなかったね
◆
519.そんなことぐらいで関係が変わるなんてことはない
◆
出版社で翻訳家をしているのだけれど
カフェで相席した彼とは
それからよく会うようになって
彼の愚痴とか
私の悩みとか
話すようになって
付き合うようになって
でも
ある日
神妙な面持ちで
彼が切り出したのは
異性装があるってこと
別れ話だなんて思った私は
心底ホッとして
自分の早とちりに
心底呆れた
◆
520.貴方から貰ったこの指輪を私の指にはめるのは貴方がいい、貴方でなければならないの
◆
出逢ったのは偶然じゃなくて必然ね
ぶつかって怒鳴られて謝って
手から離れてしまった白杖を
手探りで探していたら
車に乗り込む寸前だった貴方が
何の気紛れか近付いてきて
手渡してくれた
方向が分からなくなってしまった
私の行き先を聞いた貴方は
知り合いだからと言って
行き先と話をつけて
貴方のところで働くようになった
貴方は玄の旦那と呼ばれて
界隈では有名みたいだけれど
私にはとっても優しいね
貴方は父親と折り合いが悪くて
私の親戚がいる警察が嫌いだから
話題にはしないけれど
いつか言えたらいいな
私には甘い貴方が
あの匂いを
あの人が冷たくなった原因の
あの匂いを纏わせて
帰って来た時から
親戚から同僚が怪我をしたと聞いた時から
あの時のような嫌な予感がしたの
けれど
きっと親戚と仲間が貴方に辿り着くから
だから私は
あの人の命日に花を添えて
プロポーズされたのよ
と嬉しい報告をしたの
貴方が父親を許せなくても
親戚と仲間が貴方を許せなくても
貴方が許せない罪を犯しても
あの人は憎まないから
あの人は誇りを大切にするから
私は許すわ
私は貴方を待つわ
私は信じるわ
私を助けてくれた貴方が
悪い人だなんて思えないから
◆
521.異端視の任意後見人
◆
彼は一国の王子様だけれど
妾の子だと
両親に愛されていないと
配下には呆れられていると
側近には申し訳ないと
忠誠を誓われても
自分に自信が無い彼
幼少期に一緒に育った彼だけれど
彼が王子様として連れていかれた
少しして私もその場所を離れたけれど
彼が国を追われたと耳にして
追い掛けてきたんだ
彼の仲間は私を疑った
当たり前ね
私の母を父を亡き者にしたのは
彼の父親である現国王の命だったから
けれど私は知っている
彼は一番国王に相応しい
国民の為に笑い
国民の為に泣き
国民の為に最前線に立つ
歴史上稀に見ない
平和な世の前身を
造り上げるであろう彼に
彼は彼だよと
利害無く
蚊帳の外から言えるのは
私だけだから
◆
522.アシドーシスになって、アルカローシスになって、やがて平衡になる
◆
私は任侠一家の娘
祖父と姉と舎弟達と暮らしている
といっても血の繋がりは無くて
私の本当の両親は
任侠一家の組員だったけれど
母は病気で
父は抗争を止めようとして
だから幼かった私を
祖父が引き取ってくれた
姉とは姉妹のように
舎弟達とは家族のように
怪我をする舎弟達を治療出来たらと
医者になりたいと夢と目標が出来た
けれど姉は継ぐ気は無くて
けれど私には期待は無くて
だから迷惑かけないように
学費を稼ぐ為に
一旦働こうとしたんだけれど
医学部の資料を見てしまった姉と
初めて喧嘩になってしまった
けれど
期待されていない訳では無かった
余所者だからでは無かった
ただ自由に生きて欲しいと思っていたんだと
気が付けたから
◆
523.過剰防衛ぐらいが丁度良いのかもしれない
◆
貴方の告白を断ったのは
貴方が嫌いとかじゃないわ
むしろ大好きだよ
けれど私には継ぐモノがあるから
それには危険が伴ってしまうから
覚悟だけじゃ足りないから
貴方には安全に幸せに暮らして欲しいから
だから断ったの
断りたかったの
断らなければならなかったの
悲劇でも喜劇でもない
最初から物語なんて
存在しなかったの
◆
524.パラサイトの電流班
◆
転校した先で不良になって
彼に補導されて
彼には愛する人の忘れ形見がいて
懐かれて付き合って
転校前の地に夫の転勤で戻って
転校前の友達が教師をしている学校に行くなんて
不思議な縁ねと
彼と忘れ形見と笑い合う
◆
525.慈しみが通り悪魔
◆
自分のせいで
私が持っていた形見が
壊れてしまったと
悲しむ貴方
けれど
それは違う
貴方のせいではなく
形見があったから貴方を守れたんだ
形見のおかげで貴方を守れたなんて
こんな素敵なことはないでしょう
◆
526.誇れるような代償でいさせて
◆
君一人を
置いて行ったのではない
君一人の
命を守った
凄い人だ
◆
527.読心術に口付けを
◆
罪を許さない貴方は
公安委員会からも睨まれる存在
けれど
私に伝えようとする
不器用なその姿は
凄く優しい
私が襲われそうになって
駆け付けた貴方
読唇術なんてなくても
その拳は止めなきゃいけない
だって貴方は優しい人だから
優しいから赦せるはずよ
◆
528.天泣の落書きにネモフィラの祝福を
◆
メソメソして下を向いている暇があったら
大事なものを見逃さまいとして
睨み付けてまで
存在を認めて欲しいからと
至るところに落書きするのはいいけれど
もっと上手く書いてよ
あんたなら書けるからさ
なんて仏頂面を見て苦笑いしながら
喧騒を遠くに聞きながら消すのを手伝って
そんな夢物語を言って早数十年
良く晴れた爽やかな風が吹く今日は
あんたとあんたの愛する人との晴れ舞台
最後になって
畏まって頭を下げて
あんたからありがとうなんて
お礼を言われるだなんて
思ってもみなかった
けれど
ご招待した人達を見れば一目瞭然
面白そうだなと書くのを加勢したり
しょうがないと消すのを手伝ったり
早くしろよと待っていてくれたり
今ならきっと騒がしいくらいよ
あんたが築き上げてきたもんなんだから
文句の一つだってありゃしない
野暮なことは言わないから
あんたが描いた落書きという名の絆に
上手に書けたじゃないと
頭を撫でながら一言だけ添えたの
◆
529.コキアで一献を、一緒に傾けてくれない?
◆
放っておいてくれと
貴方は言った
けれど
私は放っておかないよ
大事な身体なんだから
大切な場所なんだから
貴方と居たいのだから
私は貴方と悩みたい
貴方と一緒に
人一倍溜め込んでしまう
そんな貴方だからこそ
◆
530.私がスパイだと見抜いてしまった中途半端に頭が良い自分を恨んでください
◆
一人では隠し事で
二人では秘め事で
三人以上だと隠蔽になるのかしらね
私があの人を好きだと信じた彼奴等が
私をスパイに誘ってくれたから
せっかく乗ってあげて
氷を溶かすようにゆっくりと
信頼を積み上げていく途中だったのに
情報を探り出す前に
氷を噛み砕くかの如く激しく
入り乱れた攻防戦を繰り広げたから
中の毒が回りに回ってバレるなんて
愛する人の仲間を裏切る訳ないでしょ
私が愛する人?
貴方だってずっと言っているじゃない
それに気付いてくれたのはあの人だけ
貴方は冗談はよしてくれなんて言って
取り合ってもくれなかったし
いいですよ、もう
付き合うとか考えていませんから
私の中で消化しますから
貴方が私の中で綺麗な思い出になるまで
それまで待っててください
って、なんでそんな顔するんですか?
仕方がないじゃないですか
バレたのは貴方のせいなんですから
え、違う?
じゃあ、何なんですか?
◆
531.『to be continued...』
◆
ロジスティクス発案者は
常軌を逸した天賦の才を
思う存分に発揮して
積年の欲望に果ては無く
満たす為には手段を選ばず
理性という仮面を被って
倫理を異常に振り翳し
知性という糸を操って
絡めた滑稽を嘲笑って
虫螻以下を叩き潰し
残骸には興味すら無く
喰らった偽善は腹黒さを隠さず
捧げたパフォーマンスに
壊れた憐れみを
暑気払いも実に虚しく
回路に懐炉を貼り付けて
法界は崩壊を止めず
祈りというエッセンスを振りかけ
インスペクターさえ
衝動を抑えること無く
付け届けには
アナライザーを忘れること無く
甘美なオルゴールが刻む
旋律に戦慄を覚えながら
窮愁じみた揺籃歌に酔うは
Need not to know...
象られたのはケダモノと相違なく
腐心に苦心する見まごうことなき
とても万物の霊長らしいヒトである
◆
532.陥落寸前、御愁傷様。
◆
公庁(公安調査庁)の公舎と
内庁(内閣情報調査庁)の官舎で
捜査員の動く影は絶えない
宿舎に広がる飛沫血痕は
所謂、見立て殺人を模していると
捜査本部は方針を固めた
法科学鑑定研究所は
絞殺を索条痕と吉川線と
指紋を夜の世界の名刺を用いて捜索
科学捜査研究所(科捜研)は
溺死を顔に乗っていた水に濡れたタオルと
足跡を足の大きさに比例する肘から手首までを重点的に鑑定
科学警察研究所(科警研)は
不純物に含まれる含有量の割合の一致を確認して同一と確定
死体検案書を賜って
解剖鑑定書を拵えて
死亡診断書を携えた
蟒蛇すら逃げ出して
帳尻合わせもせずに
檀家に駆け込んだ
不能犯は自首をして
中止犯は出頭をして
聾桟敷を解釈し周知した
永田町(政界)が教唆を見抜いて
霞ヶ関(官庁)が間接正犯を探り
赤レンガ(法務省)が幇助を妨害
桜田門(警視庁)は隠避を明るみに
不埒な可能性を否定出来ない以上
いや出来なかったら最後
痛い腹を探られた上に
不届き千万を許さぬ捜査をもって
紛れもない包囲網はすぐそこまで
出るのは鬼か蛇か
撃つのは豆鉄砲かミサイルか
刃が付いているだけで御の字な
危険な付け焼き刃ではない
捕まえられた手を振り解くことも
差し伸べられた手に縋ることも
窮地に陥った土壇場では
遺憾の意を示して
往なすことさえ不可能である
◆
533.細工は流流仕上げを御覧じろ
◆
夢幻泡影のような月明かりを
見上げている貴方に
眠れないのと尋ねてみた
けれど質問の答えは意図的に無視されて
代わりに俺を信じろと抱き締められた
普段の貴方からは到底似つかわしくないほどの
有り体の優しさが込められている感覚がして
うんと一言だけ返した
表面上は敵を討伐する為に集まった
けれど内面は不透明なまま
利害だけが結ぶような関係に
居心地が悪い相関図を思い描き
鈍色の盃に珮を飾って降らせた灰になる
そんな折
思いかけず一人が襲撃を受け脱落した
普段の素行と相まって
貴方は疑いの目を向けられてしまった
興味が無いのか面倒なのか
当の貴方は言い訳すらせずに
知るかよの一言で終わらせてしまった
静謐とは真逆の空気が漂う疑心暗鬼
寝静まった最中に呼び出され
一人思い上がった奴が言う
誰も信じなくていい僕だけを信じてと
奴が笑って私も笑う
含意の異なるそれは
相容れない存在だと
証明しながら執着の
終着を告げるサイン
外堀は自然に溢れベスティアの様に唸る風
内堀は不自然なほどの無言の隙間を埋めた
単なる熱光源でしかない太陽が昇り
エネミーコンベンションが繰り広げる
マスカレードが開演した
バンドル販売の様にシークエンスに沸き
享楽していたパイオニアは
奴ではなく私の家族で
集る様に私に命じてきた
高台から見下ろすのではなく
確実に見下しながら
貴方を亡き者にすれば帰還を許可してやると
天稟をモットーとして語り
滑稽なグローリーを飾り
私にオーバーラップを演じさせた
意図を持って家族の糸を手引きしたのは
無根拠に己を正当化出来るお目出度い
姦しく諳じている奴なんだろうね
頭の中で諦念と憐憫が渦巻く
私は無言で貴方に銃口を向けて
躊躇すること無く放たれた銃弾は
魔術によって転読され奴を貫いた
乖離する惨劇のストーリーを
信じて疑わなかった奴と家族は
混惑し集き足掻けば足掻くほど
酷く浅ましく滑稽で無様な傷口を広げる
恥の上塗りを頭で理解していても
目の前にピクトグラムが転がる
奇妙な光景を拭いきれないのかしら
僕は支配する側に選ばれ神から寿ぎを賜った
支配される側である粗忽なお前らを助け
諸行無常すべて正しく導かなければならない
神が定めた概念以外は神への冒涜でしかないんだ
妬く役が欲しがった訳は
出来る薬を欲しがって
厄が疫を連れてきて益を焼いた
姿態を慕い肢体は死体になって
臣従が真珠を神授し新樹で心中を望む
楽することが大好きで
力で奪えるものは何だって奪い
自分の主張を通す為に他人を傷付ける
人生の歪められた過去の記憶達が
実際に目で見える形に戻っていく感覚に
ロジカルの欠片も無いセオリーは
論いのアイロニーにすらならない
金魚鉢の金魚が鉢の外では生きていられないとしても
それを不幸だと思いもしないように
私が助けられるべき不憫でか弱い存在だと決め付けて
助けるのは自分だけだと無意識に酔っていただけね
助けなんて必要ない
勝手に不幸だなんて決め付けないで欲しいわ
幸せだと自覚しないことには成立しない
客観的な定義なんてすることが出来ない
利己的な要素が強いケミカルでしかない
死ぬことに酷く怯えながらも命の意味を探し
生き続けなければならない人間が造り上げた
浅ましい幻想と未練がましい空想でしかない
積み上げた誇りや尊厳と引き換えにして
身に付けた道徳や倫理観を裏切って
反逆のサーマルを放棄して
シャンクに永遠の忠誠を誓うなんて真っ平御免だわ
すでに関与出来る範疇を越えている
これ以上強制される覚えはないのよ
不協和音のマリアージュの迸りはもう結構
無限回廊の戯言は聞き飽きたわ
野良犬の鳴き声にしては煩すぎですね
クロアに反抗するほどの気力は持ち合わせていませんが
ラメントを受け入れてしまうほど従順でもありませんよ
そちらにだけにしか利益をもたらさない
そのような交渉に応じる気もありません
ウィークポイントを突かれた哀愁漂う臆病者の瞳には
私がクローザーに見えるみたいですね
魔術ぐらい見聞きしていたら出来ますよ
私はこれでも演技派なんですがお忘れですか?
私が人を殺したことが無いとでも思っているんですか?
タイムリーな君子危うきに近寄らず
カンデンツァに虎穴に入らずんば虎子を得ず
メリットがあるから得をしたいから
危険がないから安全だから
そんな不快で深い腐海な理由じゃない
用いた婉曲ブラフが巣食い
マスキュリンに足を掬われ悄気た奴らは
天地神明に誓っても救われない
◆
534.姫蔓蕎麦のレゾンデトール
◆
この能力は
能力者の命を奪うマイナスの能力
おひいさまなんて
メルヘンちっくな字
笑止千万
価値のない商品
売れない美術品
賛けない芸術品
継承出来るはずもなくて
手を伸ばせば届いてしまう距離にある
死を感じながら
他からみて重要か否かは
さほど問題にはならない
私にとって確実に看過出来ない
足を引っ張る存在が私なのだから
自らの意思で自らの命を放棄しようと
機会を伺い続けていたのだけれど
片道の人生
生きてきた意味はあったということね
マイナス
つまりはプラスの否定
命を奪う
つまりは生の否定
否定をする能力だから
争いを生む秘宝も
他者を圧倒する力も
争いで奪われた命も
耄碌した真柱も
晴れぬ暗澹も
途切れぬ怨嗟も
悲しい結末も
枚挙に遑がないキュビスムを
否定するのは吝かではないわ
私でなくてもいいことはあるけれど
私でなければ意味の無いものもある
そんなことしか出来ないけれど
それくらいなら私にだって出来る
精一杯生きることは悪いことではないと
今までの価値観と喜怒哀楽の全てを翻す
決断して運命を変えるのはいつだって
小さな勇気と誰かを大切に思う気持ち
能力を解放することが出来たとしても
幸せを約束出来る存在ではないけれど
過去を守る強固な盾となり
未来を切り開く双剣となり
降りかかる火の粉を振り払い
災い転じて福となりましょう
スッと息を吸い込み覚悟を決めて
韋駄天が嘆息を漏らし
寓話さえ煽惑を嗾けた
悪趣味で寝覚めが悪い
この小賢しい能力ごと
全部叩き潰し否定して
慰めに愛らしい花を一輪
手向けて差し上げますわ
◆
535.無限の布袋石は舞還のコラージュとなりし、霧弦となれりプシュケーと鬱金香は夢幻となりぬ
◆
両親とは死別してしまったけれど
愛されて祝福されて産まれてきた
煌煌たる影が照らし出した
最強と謳われる里一番の強大な力
濃い陰を理不尽に強調され
その力には到底耐えられない身体
不整合が造り出し与えた宿星
育ての親が力に耐えられるように
暗躍すらして研究していたけれど
甘すぎる毒薬を求める代わりに
相応の代償を支払うかのように
ひりつく危機が訪れても翻弄されるだけ
一つずつ大切に繋いできたピースでさえ
徐々に崩され着実に壊れて
どんどん散り散りになって
あっさり失われて残骸すら見当たらない
血の気が引いた憂き目に冥福を祈るだけ
変えられぬ特質で忌み嫌われてしまっても
陰口を罵って饒舌に浴びせていたその口で
掌を返したように平気で哀れみも口にして
吐き出されてしまっては戻ってもくれずに
無意識に湧き起こる同調という安定を望む
それでも育ての親以外の里の人々に
責任があった訳でも悪かった訳でも
誰に対しても恨みなんて無い
何に対してもあるわけがない
何故かと訳柄を問われ呼応するならば
穏便で無責任な事なかれ主義ではなく
動乱の渦中で抛擲させられた一族の
畏怖の念と威厳を知らしめるという
意見が対立しぶつかり合う喧嘩でも
守りたいが故の戦争なんかでもない
己の目的を果たしさえすればいいと
身の程を弁えずにただ虐殺を極める
福に服を着せる様に崇高な理想を掲げ
革命という名の復讐を起こした奴から
取り越し苦労が多い上に誰かが
傷付いたり悲しんだりする事を
自分のことのように思える彼と
杳々たる間者に自らなった彼と
何も出来ないくせに
腑甲斐無いくせにと
投げ出すのではなく
せめて出来ることを
幾許に足手纏いでも
切り札として里を守る為に誓約と束縛を交わした
忍従して全てを手放し捨てて
慎重に里を守るはずの行動が
真っ直ぐ動けず置き場を探し
苦しめている矛盾だらけの
現状に気付いてしまっても
それでいいんだとは
言い切れぬ行為でも
時の流れから弾き出され
変わることすら出来ずに
在るべき世界へ還る時を
一矢報いる瞬間に賭ける
私が居ないと奴を討ち取れるだけの力が存在しなくなるから
私が居なくなれば育ての親は悲しむことが分かっているから
悩む意味がないと知ったところで
悩みを忘れられる程目出度くない
そうするしかないからそうするだけ
この力なんて必要とされない世界へ
恙無く行き着く為に彼とどこまでも
幕開けはいつ倒されていたのだろうか
極限状態で並べられたドミノに
亀裂が現れ均衡が一瞬で崩れた
恐らく最初から傾いていたに違いない
渾身の力を振り絞り
バランスを維持させ
どうにか踏み止まる
僅少な防御をすり抜けて
届いてしまわないように
世界を否定し弱者を甚振り
破壊の限りを尽くせるのは
得難い世界だと気付かずに
里の為にしか生きられないなんてなと
感情の動きに合わせ表情を変化させて
憎悪を滾らせながら嘲笑い哀れんでる
奴と共に彼の亡骸と力ごと消し去った
命を投げ出し守ってもらって
私だけが生き長らえてしまう
覚めない悪夢はもう終わった
静寂の中で罪の意識に無言で押し潰され
居場所を見失った自分さえ自らで拒んで
心の底から自分を憎み自らの死を願う時
他でもない自分の気持ちに自ら嘘を付き
万物の霊長として既に死せる屍としても
世界を繋ぎ止められたのだろうか
忘れてしまいそうになる程平然と
崩壊と構築の二律背反を繰り返し
訪れた蜜月時代の最中に魅入られた
笑って笑いかけて笑い合う白昼夢は
いかに敢闘しても現実にはなれない
鍵など無くとも過ぎ来し方が施錠して
自らの手で終止符を打つことを選んだ
私は私の為に生きれないけれど
私は私の幸せを願えないけれど
私は里に縛られているんじゃない
私が里を縛り付けてしまっただけ
里に守られていた私の命は
既に私自身のモノじゃない
死ぬことすら満足に出来なかったけど
迚も斯くても里を守る為に生きられる
願っていいなら
里の為に死ねるなら
誰かが救われるなら
私が救えるなら
里を救えるなら
名前なんて残らなくていい
存在だって忘れられていい
誰にだって気付かなくていい
誰にも気付かれてはいけない
肩代わりしてもらえない孤独な恐怖を
自ら心に刻み付けてしまったとしても
平和な顕世の談笑の裏側で
袖にされる人がいるのなら
それは私でいい
私が最初から存在しなかったかのように
ずっと変わらずに笑っていてくれるなら
大切な人達が幸せでいられる世界が
後生大事に続いていってくれるなら
それで私は良い
故意で悪意的な辯解の代償は
偶然で好意的な懺悔の対価は
身に余る光栄に他ならない。
◆
536.荒唐無稽な意趣返しよ、以後よしなに。
◆
上げられた口角に不快を感じることは無く
嬉しさ云々も感じることは無く只々不可解
軽薄な優男が形作るアイシテイル
慕情を吐くその唇に口付けをした
キスが欲しいならキスをします
キスをしたいならしてください
抱き締めたいならしてください
貴方がお望みならばその先だって構いません
合意の上ですから勿論何の問題もありません
そんなことで私の心を壊した貴方の
私に近付く人達を排除する為だけの
咎の腰を折ることが出来るのならば
罪を償うことは義務ですが赦された権利でもありますし
瀟洒には程遠い私が行使可能な最善の忠告だと鑑みます
私が経験に基づく警告を述べただけなのに
理に敵わないことしか言わない現在の私は
貴方の手に入れたかった私ではないらしい
言わされているだけだろうと
頼むから違うと言ってくれと
錯綜した思考は地雷を踏んでしまって
他の言葉を忘れてしまったかのように
駄々っ子の様に有無を言わさぬ勢いで
優男の肩書が剥がれ未熟な精神を晒してまで都合の良い託種
心の動揺そのままに乱暴に詰め寄る貴方に抵抗する気はない
非論理的に否定だけを繰り返す貴方に不満を抱く訳でもない
悪意を根底に持ち傷付けながら得た過去は
確かに存在したことを永遠に証明する事実
出口が欠落した闇の中で沈んでいくように
臍を噬む報いだけが手元に舞い戻ってきた
艶やかなる脅威を映し出す鋭い凶器を手にすれば
世界に組み込まれたカードはいとも簡単に裏返る
何が起こっているかなんて至極単純で
それでも疑念を尋ねることで形にして
確かめなければ理解すら出来なかった
よもや見せ付けられたのは暴力に踊らされた痕跡
知らず知らずの内に妄想として膨らんで
歪んだレンズ越しにしか見れなくなって
降りかかる全てから守ってやればいいと
様々な悪行を気取られないよう秘密裏に
距離を置きながらも捕らえて纏わり付き
憧れの英雄気取りを望み悦に入っていた
貴方に微塵も変化が無いからこそ
私が却って際立ってしまっただけ
貴方がどんなに受け入れ難くても
戸籍上も姿形も相違無く私のまま
消えない傷を残すことを余儀なくされて
空っぽになった心は二度と満たされない
忿怒し責めることも
憎み復讐することも
謝罪を求めることも
貴方を愛することも
万に一つもないので
どうぞご安心下さい
もはや何かが始まる予兆も
終わる予感も感じさせない
素っ気なく袖を振り払うように
無欲で起伏の無い潮騒のように
瞳は瑕の無いガラス玉みたいに
澆薄で無機質な作り物みたいに
自然な違和感となって反射する
自らの幸福の為に最愛の人の幸福を破壊し
得たかった役を手に入れて
知りたかったことを知って
したいと思ったことをして
自ら閉ざした未来は過去を総じて嫌悪する
貴方は私を愛していたからこそ
物理的な距離の隔たりではなく
心の領域が重なり合うことなく
私にとって貴方が瑣末であると
追い付いた理解が敗北と絶望に
縷縷と綾なされ止め処なく浸透
悪に身を窶し善に屈して頽れた
失敬失敬と秘密の暴露が飾り立てた
ベゼルの内側こそ悉皆寔に相応しい
◆
537.宛らアルティメットエスポワールでよろしおすなぁ
◆
期待を抱かれる重み
壊してはいけない責任
背負わされる未来
望まぬまま見送るだけ
置いてきぼりの自分
観覧車に乗せられた観覧者
選ぶことの出来なかった可能性の先の未来を
恨み辛みの果ての悲しくも優しい世界を
すべて差し出してでも見て欲しいから
後は頼んだなんて一言
すべての思いが込められた短い決意を
受け止めてもらえるなんて思っていて
勝手なことばっかり
なんで私だけ生かされているの?
なんで連れて逝ってくれないの?
幸せになれなんて呪いの言葉
浜辺に描いた絵のように不安の波にさらわれ
やるせなささえ言えなかったのは
言ったところで状況が変わらないことは明明白白
どうせ分かってはくれないと早合点した訳じゃない
在り続けることだけを望まれ
神と繋ぐ為に捧げられた贄は自分の命になど目もくれず
危機感を抱えながら問題を先送りし延々と結論を引き延ばし
償いを過去にした報いを受けながら
ひたすら帳尻合わせの為だけに
歯車はクローズしながら黒い渦となり回りながら蝕み軋む
サラウンドのノイズが音量を上げ続け
不愉快な音は心をかき回し続け
どうにも出来ないからこのままでもいいと思っただけ
何をするかの共通の理解を持っているのに
向かっているのか呼び寄せられているのか
誰一人知らない
他を守れば個も守れるけれど
個を守っても他は守れない
下手をすれば全滅もあり得るけれど
上手くすれば犠牲が出ないかもしれない
妥当性がありつつ避けれない鬼一口を
先ずは御手並み拝見とばかりに
遂行しなければならないのは
御相伴にあずかる程にそうするしかないから
過ごしたかけがえない時間と
これからの未来を犠牲にし
アンパイアさえ正確に把握出来ない
今という時はひたすら転がって
脇目を振らずに落下する
わざわざ苦しくなる選択をして
旅立ちの船出を見送ってまでも
誰にも見えない細い
切れてしまうような脆い
雁字搦めの硬い
磐石な運命に抗うことは
それだけの価値がある
良い方向に変えていくのか
悪い方向へ導いていくのか
善は急げだが急いては事を仕損じる
簡単には戻れないなら
進んでも追い付けないなら
止まることさえ出来ない私ごと
闇を閉じ込めて凍らせて
喰らった暗いCRYindestructible
烏滸がましい時分
与えられた役名は
救世主という名の
◆
538.チャラい俺様エースが落とせないのは、ボーイッシュで自己完結型のツンデレさん
◆
あいつの周りには常に女子がいる
キャーキャー言って纏わりついてる
みんなに笑顔を振り撒いて
平等にしなきゃいけないって大変だなぁって
頬杖つきながら遠巻きに見つめる
けれど誘いまくってるのを知ってる
俗にイケメンと呼ばれる部類のあいつに
ナンパされて自分はモテるんだと勘違いしてる女達
実はナメられて遊べそうだなって下に見られてること
熱中してるその労力は鳥瞰すれば虚しく後悔すること
誰とでも仲良く出来るのは誰にも心を開いてないこと
艶羨あっても冷笑にはいい加減気づかないんだろうか
ファンクラブとかもあるみたいだけど
了見の狭いカーストなんてものには
自ら近付かないのが平穏無事のコツ
平伏すようにして触らぬ神に祟りなし
デートを迫られた時の決まり文句は
みんなを大事にしたいから内緒だけど今回だけ特別だよ
隠れて隠してトップ屋抜きで成立させてしまう
適度に毒々しくて甘い甘いウィスパーボイス
相変わらずの自意識過剰っぷり
権力に悪知恵が加われば最凶ね
なんで知ってるかなんて野暮
あいつが勝手にベラベラ話すからに他ならない
遊んでるとか最低とか責められても困るんだよなぁ
こっちは頼まれたから付き合ってあげただけなのに
だの
俺様らしく振る舞ってやらないとみんなの迷惑になるだろ
だの
奴と仲良さげだけど止めとけ止めとけ
お前にはもったいない
だの
お前みたいな奴と付き合えるのは俺様ぐらいだ
客観的事実なんだから光栄に思えよ
だの
自由に惹かれたのに縛りたいと望んでしまう
そんな疼く矛盾を噛み締めても
考え方に差があったとしても
様子を伺いながら同意して欲しそうに
最低じゃないよって言って欲しそうに
ユーフォリアに浸るあいつの御饒舌を聞くには何ら支障がない
女共の過剰な嫉妬を避けたくて
あいつに嫌われたくなくて
空気を読みすぎた結果の距離感に
返答の一歩が踏み出せなくても
生欠伸と共に立ち去るのが私のルーティン
それはもう堂に行ってるはずだった
九夏三伏真っ盛りのここは別館の空き教室
こいつの背に見える琉球ガラスのような窓
今や過去の産物になったであろう壁ドンで
お前を思う気持ちは誰にも負けない自信がある
とか言われたって
今更信じられる訳ないでしょ
言い寄って言い寄られて
そんな状況を見せつけられたら
興味が無いって思うじゃん
やきもち焼かせる為とか
好きになると一途になるとか
知るわけないじゃん
ドクドクと打つ胸の痛みなんかより
正当化する頭ん中の方が現実感寄り
初見殺しもいいとこ
よくよく考えなきゃ気付くことが出来ない好意なんて
甘美に酔って感覚が麻痺してなくても到底無理な話だわ
こんなに人を好きになったことはない
お前と俺が出会ったのは運命なんだよ
なんて絞り出すように言われたら
いつもの軽々しさなんてふっとんで
つか黙りこくってないで何とか言えよ
と睨まれたから
それが答えってことくらい気付けバカ
って睨み返した
◆
539.不器用な生真面目くんが恋をした
◆
機械並みに頭の回転が早く
無口で冷静沈着の文武両道
しかし無愛想なのが玉に瑕
それが周りからの俺の評価
そんな俺が一生無縁なのだと思っていた
恋というものをこの度自覚してしまった
表情筋は一切動いていないが
内心はもの凄く戸惑っている
冗談さえストレートに受け止めてしまう俺が
調べるための辞書も正解を導き出すどころか
手本にするべきマニュアルの欠片すらない恋
どこから手をつけていいのか
皆目検討もついていないのだ
合わせられないのに無意識に追った視線を
気付かれた瞬間に意識して反らしてしまう
別人になってしまったかのような高鳴る鼓動
一生懸命抑えようとすればするほど意識して
余裕が無くなり空回りしてぎこちなくなって
完膚無きまでの不器用さに拍車が掛かっても
きっと喜んでもらえるとか思い込んで突っ走って
ありがた迷惑へとねじ曲がってしまわないように
些末なことで不興を買ってしまったり
まして忌諱に触れるようなことだけは
絶対に避けなければならないし
細心気を付けなければならない
他の誰でもなく俺が責任をもって
行動しなければならないのだから
大丈夫大丈夫
俺なら出来る
恐らく出来る
多分とは怯懦
声を出すことで成功のイメージを刷り込ませよう
初めての気持ちで最初から上手くは出来ないから
どんなに弱気な発言であっても自信満々に力強く
震える声を聞き逃さないよう心内に耳を近付ける
度胸が無く威勢を張っているだけだったとしても
思いっきりやってみないと失敗かどうかも不明で
自分自身で否定してしまえば萎縮してしまうから
全然全くもって大したものじゃないけれど
などと前置きして喜んだ顔を見たいが為に
会話を盗み聞きなんて無様な真似までして
振り向かせようとしているのだろうか
好みだというものを見付けては贈り物
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花
コロコロ変わる表情は新しい本を読むように
まだ知りえない世界の示す片鱗に触れられる
然りとて俺が変わる為の材料ではない
新たな想いや感情を生み出し
満ち溢れる愛おしさに対して
全力で向き合っていきたいと
思えてしまう必要不可欠な人
積極的に掴み取れ無くても
消極的で後悔を残すのなら
エトセトラ割りきれずとも
パンジーに降り注ぐ春時雨
難解の怪なら何回でも解を
偏に明かし続けてみせよう
◆
540.石の意志を持ったセクシーな小悪魔は蛇蝎をLandscaping
◆
「おつかれさま!」と彼にメールを送った。
1分経っても返信が無い。
「もしかしてまだ終わってないの?」ともう一度メールを送ってみた。
仕事が忙しいって言う彼の望み通りに、私から会いに行く為に。
「いつ終わるの?」
まだ彼からは返信が無い。
「もしもーし!」
前にSNSを更新してるのにも関わらず、私へのメールの返信を忘れてたことがあった。
うっかりだったって。
「おーい!」
寝る前に電話し忘れて寝てしまった時も。
私を騙して会社の飲み会に行ったことも。
仕事のことだって話してくれないことも。
全部ぜーんぶ許してあげたのに。
「無視なの?」
放置されるのは好きじゃないどころか大嫌い。
私は彼を愛してるからこそ彼に合わせようとしてるのに。
私ばっかり我慢して彼は何故私に合わせてくれないの。
「わざとスルーして焦らしてるの?」
二の矢三の矢を放つけど、SNSの更新も無ければ本命であるメールの返信も全く無い。
「なんで返信してくれないの?」
私を愛してるならいくら仕事が忙しくたってメールの返信ぐらい出来るよね。
ってゆーか、するべきでしょ。
「私のこと嫌いになったの?」
まさかまさか。
不安で不安で堪らない。
彼の口から愛してるって聞きたい。
目の前で抱き締めて納得させて。
私を満足させてよ。
「一体何をしてるの?」
彼の友達は全員把握してる。
だからもれなく連絡したけど誰も彼も知らないって言ってる。
私をこれだけ不安にさせておいて、友達にまで迷惑をかけるなんて。
彼の理不尽な自己中っぷりに怒りで倒れそうだわ。
「誰かと一緒にいるんでしょ?」
私に内緒で彼が誰かと会ってるなんて、恐怖心を煽って背筋を凍らせるだけの稚拙なホラー映画でしかない。
「誰と一緒にいるの?」
指し示してるのは私の知らない場所。
GPSじゃやっぱり駄目だったみたい。
私のモノだってことを重々認めさせて、
私を裏切ったことを後悔なんて生ぬるい。
謝罪と土下座とプレゼントだけじゃ気なんて済まないから。
私が監視してちゃんと彼を管理しなくちゃ。
「浮気は許さない」
絶対に許さない。
「今から行くから」
絶対に逃がさない。
ビードロには卯の花腐し。
忌みに意味など愚蒙だわ。
気位が高い私が被った鞠問の正解はたった一つしかない。
◆
541.やんちゃで元気な後輩は従順なワンコではなく狡猾なUnreliable narrator
◆
女の子ウケするお店や流行りスイーツのチェックは欠かさない
俺のステータスが活かせるなら名目は何でもいい
「お勧めの店があるんだけど、一人じゃ入れないんだよね。」
知ってるけど知らないことにして情報を巧みに操ってみせる
ウイークエンドは一緒が必須条件
「今週末空いてるよね。教えてもらったお礼をしたいんだ。」
グレーな言葉で意向をねじ曲げドタキャンの意思を貫く
気乗りしない時は先延ばしが当たり前
「仕事が忙しいんだよね。落ち着いたらな。」
会いたい時に会って割り切って自由気ままに軽いノリで生きるのがオレ流
「時間出来たから今から行くわ。・・・いや、そっちが来た方が早いから来いよ。」
想像に任せてプロミスリングなんて以ての外
大人な関係なんだから言わなくても理解しろよ
泣いてすがりつくように依存して
ナチュラルハイを押し並べて
盈虧よろしく泥沼に引きずり込むな
「『私達付き合ってるの?』なんて答える必要性ある?付き合ってるようなもんだろ。」
ある日やってきたhorrible嚮導
全女の代表格のようで突飛に現れた宇宙人のよう
手弱女なんて甚だしいことこの上ない
チェックした証拠をあえてカウントずれに突き付けて
チェックメイトばりにまくし立てながら迫りくる
velvetがお似合いのどんなdonnaがせがもうと
俺の与り知らないとこならば心底気分が悪い
都合の良いお前らとは楽しい話だけしたいんだ
話し合いなんて面倒くさいし堅苦しいだけだろ
体を引き裂かれたような痛みを覚えたような
弁えもせず恰も私傷付きましたってな顔して
俺を無責任とか責めてグチグチ言うんじゃねーよ
そんなことよりまずは傲慢を顧みて反省ぐらいしてみせろ
浮気されるような自分に非がなかったかどうかをよぉ
無理矢理に暴くことを暴力ってーの
その頭では到底理解出来ねーだろうけど
「俺のこと嫌いなわけ?」
『き、嫌いじゃないけど』
それが正しい答え
泥犂のようにネガティブに俺を疑い
周りの空気まで不機嫌にさせたこと
俺との関係を続けさせてやってるのに
俺に横暴な態度を無鉄砲に取ったこと
俺という存在がいなければ
お前の存在すら地球の損にしかならないこと
その現実をまずは認めろ
話はそれから
日常を脅かされた身であっても
俺は寛大な心を持ち合わせてるから
やっと気付けた己の間違いに許しを乞われたら
蛙鳴蝉噪な謝罪であっても受け入れてやろう
「それならいいだろうが。」
凡人などには決して味わうことが出来ない人生‐ゲーム‐
汚点‐リスク‐を矜持‐チャンス‐に変える術‐スキル‐を見出だして
遥か高みに登って搾取する側に回って手に入れた戦利品‐ルール‐
傀儡に出精値引‐コンフィデンシャル‐を承服させてしまえばいい
戦略‐レベルアップ‐の総ては自分が楽しめるか否か
場末の濫觴‐クライム‐を肴に司法取引に色を付ける
何かを得るのに何かを破棄‐サクリファイス‐なんてあり得ない
歪な形で継続させた違和感さえ
上書きで手打ち抹消して糜爛も
やがて馴染ませるインサニティ
ドルチェは異様な威容でいよう
ウイークポイントは掌握下に入れ
プライオリティは下げることなく
スタッグ・ナイトは終わらせない
◆
542.清楚な癒し系の真贋はアンサングセキュア
◆
彼はものすごく忙しい仕事をしている
ずっと忙しそうだけど大丈夫?
とか
体調崩してない?
とか
疲れてない?
とか
何か困ったことはない?
とか
もし悩んでいることがあれば相談に乗るよ?
とか
心配で心配で思い浮かべたままの言葉が
矢継ぎ早に口を衝いて出ていってしまう
けれど彼は必ずといっていいほど笑って大丈夫と言う
しつこくして嫌われたくないし
彼の笑顔を信じ寂しい気持ちも我慢して
私は笑顔で行ってらっしゃいと見送るの
信じたいなんて多分彼の為だけじゃない
彼が本当はどう思っているのか
もしもそれを知ってしまった時
傷付いてしまうのが怖いだけ
だから彼に限って大丈夫だからと願ってしまう
そうであって欲しいことばかり
自分の都合の良いことばかりを
けれどそんなの杞憂だった
会えない時は私のことを考えてくれて予定を事細かに話してくれる
落ち着いたらデートしようねって寄り添ってくれる
少しだけ時間が空いたんだけど会えない?って誘ってくれる
我が儘かもしれないけれど忙しくても会いたいって言ってくれる
一度勇気を出して理由を聞いてみたら
ちゃんと付き合っていきたいからだって
忙しいことを理由にして会いたくないだけでしょなんて疑われてしまったから
もう離したくないから誠実にしたい
先のスケジュールまで決めておけば頑張れるからだとも言っていたなぁ
休める場所があるんだと思えば辛くてももう一踏ん張り出来るんだって
もし体調が悪くなっても彼が眠るまでそばにいよう
私が病気の時に不安になるからかもしれないけれど
少しでも安心して彼が羽を休めるようにしたいから
心配で待っているだけじゃなくて
会いたいってお誘いもしてみようかな
◆
543.純粋無垢な無自覚ちゃんなら外堀から埋めてしまおう
◆
彼女はまるで秋桜の精製水
人を疑うことを知らず
騙されやすいのが難点
諦めの悪い遊び上手な奴とか
へこたれないストーカーとか
デリカシーの欠片も無く
いい加減なデタラメが蔓延って
断ろうものなら非難轟々
だから確実に振り向いてもらうには
全力で自覚してもらうしかない
まずは王道の連絡先交換
いい感じに撮れた写真の送信か
物の貸し借りに際した約束事か
どの口実が一番自然だろうか
親近感と相性の良さは大切
一撃必殺で木っ端微塵だけはごめんだ
関係が崩れてしまうようなヘマはしたくない
会話にも細心の注意を払う
知って欲しすぎてしてしまうであろう自己アピールは控えめに
興味が無いと思われないように自慢話や悩み相談もお互い様で
重くなりすぎない程度に
他の男と差をつけることも忘れない
中身や具体的な行動を素敵だと伝える
簡単な外見だけじゃなく内面を褒めるのは
全てを理解し見ているという意思表示
一緒にいると時間を忘れちゃうとか
話をしていると落ち着くとか
誰にでもなんでしょとか
勘違いしちゃうとか
安心感を与えるフレーバーを散りばめつつ
彼女のちょっとした態度や行動にも気を配る
インストゥルメンタルのニッチ戦略
飲み会とかはマッチポンプを最大限に活用
隣の席をキープしたりそばに行ったり
自分だけが知っている一面をさらっと話題に出して
仲の良さを皆さんに惜しげもなく披露する
但しアプローチはあくまで然り気無く
冷やかされたり茶化されたり揶揄われたりして
彼女が気まずくならないように配慮して
そしてだんだん徐々に
特別な対応を明らかに増やしていく
対応の違いを見れば一目瞭然
周りから見て分かりやすいを目指す
人伝に好意が伝われば間違いないから
男っていう生き物はね
心を許した女性にしか弱音を吐かないものなんだ
人前では気を張っているからね
ほんとに癒される
楽しそうに笑ってくれるとこ好き
君が彼女ならいいのに
伝えるのは二人きりの時だけ
短時間でも一気に畳み掛ける
好きなんだ
ひと目惚れさ
話しているうちにもっと好きになったんだ
僕とお付き合いをしてくれない?
君の美しさに照れた空の顔と
同じくらいに赤に染まる君の
返事を聞かせてくれないか?
◆
544.因果律のLyricsMarblingHightide
◆
誰にも話せないことがあった
けれど勇気を出して話してみた
辛かったね
苦しかったね
と抱きしめてくれた
付き合っているのに全く頼ってきてくれないから
俺って必要とされていないのか?って不安になっていたんだ
難なくこなしているようにみえて
実はとても努力という努力をしていて
そのせいで自分自身を追い詰めてしまう
肩の力の抜き方を知らなくて息抜きが上手にできないほど不器用なくせして
俺の負担にならないようにって健気さが伝わってくるからこそ
逆に俺の前だけでは甘えて欲しかったんだ
いくら俺が助けたいと思っていても
助けてって言ってくれないと助けられないんだ
この違いはとてつもなく大きいんだよ
俺に言ってくれて本当にありがとう
自分だけの価値観で理想通りに変わって欲しいなんて押しつけたりはしない
辛い時こそ受け入れて寄り添ってくれて安心を与えてくれる
特別な才能がある訳でも凄い特技を持つ訳でもない
どんな私を知っても好きな気持ちは揺るがないと言い切る物好きで
話を疑わず真摯に聞いてありのままを理解し認めてくれる
何も言わなかったのは
何も言えなかったのは
信用してなかったからじゃない
ただ心配かけたくなかったから
自分だけでどうにかしなきゃって思い上がっていた
逃げたという記憶が深く刻み込まれてしまうのが怖かった
気付けなかったことを気付かなかったことにしても
持っていたはずのものさえいつの間にか失くしてしまって
見えてくるようになって精神的な呪縛にどんどん変わって
ダニング=クルーガー効果で生み出された
ガスライティングのほとぼりが冷めることはない
後から目にしたものがそれまでのイメージと入れ替わり
偽物の真実として置き換わってしまう
いくら私が変えようとしても
私自身が受け入れようとしなければ
何も起こらなかったのかもしれない
世界が変わったかどうかは分からない
彼に変えてもらったのでもないけれど
私自らの意思で変わりたかったのは確か
彼が鍵がかかっているか否か確認さえしなかったのは
私自身が心の扉を開けなくては意味がないから
私を傷付けたトラウマな言葉達は
彼にかかれば私を癒す魔法となる
触れ合うあったかい体温に白雨は止めどなく降り
彼に愛されて大事にされていると感じる
静まりかえる空間にLose one's life.‐心を圧迫するような感覚‐はもう見当たらない
安らぎを覚える癒しの光景に囲まれて
ゆっくり歩む人生の豊かさを教えてくれるように
乗り越えた後にしか出ない美しい虹が
真打のイマジナリーフレンドを払拭し
けちな記憶を新たに上書きしてくれる
帰ってくる場所があると分かったから
恐れずに何処へでも行けると思えたよ
◆
545.タニマチメセナはオレンジ色のマリーゴールド
◆
好きな子が悄然たる後ろ姿で悩んでいたら
俺がいるから大丈夫って守ってあげたくなる
間違えたら一巻の終わりなんてないよって
失敗の選択肢を選んだっていいんだよって
外様で頼まれてもいないのに
踏み込んだら無神経なんだろうかと
葛藤にちょっとだけ揺れたけど
贔屓と呼ばれても瑞雨のように
無理をせず帰った方がいいって
今日は少し休んだ方がいいって
君は女性なんだからと制止する
普段から負けず嫌いで
周りに負けないようにって張り合って
無根拠でも頑張らなきゃと思わせてくれる
そんなバイタリティを持ち合わせていて
すべてが肝入りのように無茶しすぎる人だから
誰かに助けてって
分からないことを教えてって
そう言うのは悪いことではないんだと
誰かと協力してみたら
案外簡単に出来てしまうこともあるかもしれないから
凄い人が最善を尽くしてみても
一人で出来ることには限界がある
一面だけに捕らわれ固執し
そういう発想さえ端からなくしてしまって
その奥にある成長を見逃してしまわないように
話はいくらでも聞くし力になれることなら何でもする
立つ場所が変われば新しい目線で見える景色も違ってくるはず
すぐに答えを出そうとアドバイスなんてせず
時間をかけて一緒に悩んで解決していこうよ
もう無理して演じなくていいように
不真面目ではないけれど真面目でもない僕であっても
自分の知識を伝えてそれを役立ててもらい
飲み込みも覚えも早くて教えがいがあって
今まで出来なかったことが出来るようになる
その実感を得てもらえるのは喜びでもあるから
真剣に彼女と向き合えば遠回しなアプローチであっても
誠実な印象が伝わり相性が良いと思ってくれる気がして
もっと具体的に頼ってもらいたくて告白をしたら
はにかんでくれた君と晴れて付き合うことになった
けれど気持ちは変わらない
君に喜んで欲しくて楽しいと思って欲しくて
見栄を張ってでも人気のお店とか絶景の夜景とか
頑張ることも待ち合わせで待つ時間も
君の為なら苦労でも苦痛でも何でもない
ブランチの予定だけだったんだけど
もうほんのちょっと一緒にいたくて
たとえ愚痴でも君の話が聞きたくて
分かち合える思い出の記憶の時間は
一秒だって無駄になんかしたくない
色々と理由をつけて引き留めても
翠雨のような君は無邪気に笑って
無条件にいいよって言ってくれる
一緒に行きたいと思った場所に
一緒を望んでくれて来てくれる
ローリスクハイリターンなんて
悲しい程に否定するのは難しい
確定された未来じゃ希望がない
不確かな未来ならば願望はある
信じる未来を忘れずにいられる
手を繋がなくてもキスをしなくても
君といるだけで僕は
◆
546.Neroなヴェネツィアン・グラスにBiancaのダリアを飾る
◆
彼はモテる
とてつもなくモテる
顔はイケメンと騒がれる部類だし
クールあんどビューティーみたいな
私とじゃ到底釣り合わないし
勝算なんて皆無だけれど
諦めるなんて出来なかったから
玉砕覚悟で告白したら
なんの奇跡かオッケーだった
だから不安になる
だから心配になる
奇跡が起こってしまったからこそ
現実と向き合わなければならない
ディスカウントよろしく釣った魚に餌をやらない
目に見える愛情表現がほとんど無い寡黙さんだから
けれど
偶然出くわした場面で
盗み聞きするようにして聞こえた
私以外と付き合う気もなければ出かける気もないから
なんて昂然たる口ぶりではっきり断ってくれた
言葉で気持ちが上手く伝わらなかっただけ
どれだけ好きか分かってる?
辛そうな顔をしながら言われて
どこかの少女漫画みたいって現実離れ
いつまでも自分を好きでい続けてくれる
そんな安心感を感じ取って更に惹かれる
あんまり優しくないし慰めてもくれないけど
何が一番私の為になるかを考えてくれていた
暫くの間忙しいから連絡できなくなる
落ち着いたらするって言ってた彼から
今日仕事終わったら少しだけ会えない?
なんて唐突に連絡がきた
嬉しくて嬉しくて即返信をして
ドキドキしながら待っていたら
私が彼を遠目に目視して約数秒
真顔プラス無言で抱き締められた
カチコチの体と沸騰しそうな頭で
どうしたの?と一言だけ聞いたら
自分勝手は重々承知しているんだけど
全然会えなくてもう我慢の限界なんだ
なんて
恋は長所を見つけることらしい
愛は短所を認めることらしい
見つけたのは
彼は不器用なだけで心を開いてくれていること
認められたのは
モテる彼は本当の彼じゃなかったってこと
エンゲージリングとマリッジリング
それだけでは証になんてなりはしない
◆
547.市街に死骸が溢れても詩鎧で詞凱を上げる為にはDyingWishにしておくのは極めて惜しいから
◆
自分の出来ないことを実行し出来る人を尊敬して
刺激を求め新しい世界を見たいという強い好奇心
改革への興味や冒険に出たい欲求を無意識に宿す
出来るならば己で選択肢を切り開き
理想を追い求めたい人は少なくない
長年の思い込みと劇的な変化のリスクを壊しつつ
道なき道を実際に創造し達成出来る人は多くない
右往左往する現実に不満や葛藤を覚えても
オリジナリティな提案があるわけでもない
実際を知らないからこそ好き勝手に言える
繰り返される似たような毎日も
全く同じ日だということはなく
ほんの数秒先のことでも何があるかなんて
楽しいのか辛いのか出会うのか別れるのか
得るのか失うのかそんなもの知る由もない
戦慄すべき驚異に満ちた失敗だったとしても
再び立ち上がれる柔軟性こそが幸せへの近道
好きを捨てるのではなく魅力が伝わるように
嚮後幸運が訪れるようにと今を犠牲にしても
未来にかけたいと願いたくさんの種を蒔いた
いつかいろんな実が成ると信じて
その強い想いは深く息づいていく
やってみて行かなければ分からない
止めてしまわずに行けば分かるから
生きることで可能性にあふれている
勝者も敗者もノーサイドになった結末を
見届けた先に見出だすものを歓喜という
覆っていた見えないカーテンが外されて
クロスフェードする未知の領域が明ける
絶望で昨日までを呪う強さを有難く受け入れるか
希望で明日からを願う弱さに尻尾を巻き逃げるか
停滞は熟成期間だから焦燥感を抱く必要はないが
命をすり減らす感覚は生を烈しく自覚させられる
訪れる軋む音にも素知らぬ顔で
限界まで気付かないふりをして
目の当たりにした加護の崩壊に
何が原因でどこで間違ったのか
責任を追及して押し付け合って
最終的には神の意思で運命だと
表面上だけ理解したつもりの手向け
謝罪の裏に隠された本心などは結構
願わくば居直り同志の再会は地獄で
建国の父が残す爪痕と君主の母が負う傷痕
三者三様の死に様より百人百様の生き様を
絶妙に微妙な画家に描かせようじゃないか
不幸中の幸い程度にしかならない予断を許さない状況ではございますが
皆々様どうか虎が雨にならぬよう思う存分暴れようではありませんか?
◆
548.音の暴力は止めてください。
◆
奇声の擬音はギャーギャー。
足音の擬音はドタバタ。
跳び跳ねる擬音はドシンドシン。
椅子を引く擬音はズズゥーン。
扉の開ける擬音はガラガラギィー。
扉の閉める擬音はドンガチャンバッタン。
物が投げつけられる擬音はゴッドカッ。
蛇口を捻る擬音はキュッキュッ。
水が流れる擬音はジャーーーッ。
五月蝿いですか?
騒音ですか?
子供のすることだから仕方がないですか?
子供だから我慢しなければなりませんか?
生活音だから気にするのは神経質ですか?
自分も昔は子供で
迷惑をかけながら育ってきたのだから
我慢しなければなりませんか?
違いますよね。
自分の子供であっても
五月蝿いと感じる人はいますよね。
それなのに。
全くの赤の他人が
五月蝿いと感じない訳無いですよね。
そんな野蛮に育った憶えも謂れもありませんが。
家の中で走り回ってはいけないですよね。
家の中で跳び跳ねてはいけないですよね。
物は大切に使わなければいけないですよね。
野生の動物は躾られていませんよね。
でもペットは躾ますよね。
人間社会で暮らす為です。
人間の都合でもお互いに寄り添う為です。
お隣の犬は吠えますが飼い主がきちんと叱ります。
飼い主は挨拶もきちんとします。
目の前の一軒家は正反対ですが。
挨拶も無く状況も分からない相手が
四六時中何かしらの音を出している。
今までの方達は何も無かったのに
突如開始されたミシミシ地震地獄。
どんなに不気味か理解出来ますか?
自分を肯定出来ず他人を貶め誉める事が出来ず
相手の気持ちや状況すら推し量ることが出来ず
とてもじゃないですが怜悧とは言難いでしょう。
社会や皆という然も尤もらしいことは
虎の威を借る狐でしかありませんね。
更に咎められでもしたら狭量とか偏狭とか
社会のせいにして正当化するようですが。
暗渠の無法地帯を飼い慣らすことは螻蛄と同じ。
耳栓なんて気休めにもなりません。
音楽なんて楽しむ為に聞くものです。
それらは無理矢理シャットアウトさせたに過ぎません。
いや、シャットアウトすら何故しなければならないのでしょうか。
最終手段は引っ越ししかありませんか?
被害者が被害を被っているのに更に被らなければなりませんか?
思いやりがあるからこそ
告げ口のような悪くなるような
そのようなことは言いたくないのです。
言葉にしてしまったら受け止めてしまって
悲しむ人もいるのを理解出来ているから。
だからプロフェッショナルにお任せしなければならないのに
他人事で形のみ調査だけで誠心誠意の欠片も見当たらない。
返信も謝罪も改善も無いのならば
通報しても良いということですね。
証拠ならば問題ない程にありますからね。
安らぐはずの家で精神崩壊を促すのですか?
現在進行形で垂れ流しているのは
誰かに誇れる音ですか?
それとも劣る音ですか?
優しい音を奏でてくださいますか。
子供は五月蝿いです。
静かな子供もいます。
大人は大抵静かです。
大人も時に煩いです。
お互い様というのは想い合う相手が存在し
夏のふとした瞬間に感じる涼しさのように
冬のホッとした時に感じる暖かさのように
神以て成り立つお気遣い痛み入りますと。
◆
549.お客様は神様とは烏滸がましい限りですが、報連相が無いのは厚顔無恥も甚だしくはございませんか。
◆
問い合わせメールを送った。
二週間経っても返信が無い。
三週間経っても返信が無い。
四週間経っても返信が無い。
ホームページを調べて協会にも
問い合わせのメールを送った。
そしたら数日後返信が一通だけ来た。
全世帯を隈無く調べた。
改善するように話した。
こちらは対策を講じた。
改善しないなら解約するように言った。
まだ何かあるなら当人同士で話し合え。
気持ち悪い気持ち悪い。
何故?何故かというと。
最初にメールを送った時点で相手には話をしていた。
と仰るが今回以外に返信が全く以て無かった理由は?
全世帯を調べたわりに住民間の話題に上らない。
改善対策どころか相手から謝罪の一言すらない。
当然ながら問題はひとつも解決などしていない。
当人同士?責任転嫁に職務放棄を上塗りですね。
まだまだ恨みが憎しみに変わる程にありますよ。
水道の基本料の免除の連絡ありませんでしたよね。
駐輪場が滅茶苦茶になっていても放置なんですね。
突発停電に原因究明も管理者としてしないのですね。
家賃は非課税であることまさか知らなかったですか。
現状維持などと御託を並べた恩着せがましい回覧板。
誰でも理解出来る文面で明記されていたにも関わらず
重要な文章に届く前にデジタルは捨てられてしまった。
係争中につき答を差し控えなければならない事もない。
勝手に身を引いてもケジメを付けたことにはならない。
今まで何の面倒も見て貰っていないのだから
今更迷惑をかけても問題はありませんよね。
大々的に何かしらで警告せざるを得ませんね。
そうしたくはないというニュアンスを含んでも
居抜き物件よりもお粗末ならば止むを得ない。
メタフィクションの試写会でシンパサイズを。
咎めないから二度と現れるなと視線を差し向けたい程に
怨憎会苦は証拠も問題も依然として山積し続けている。
◆
550.恐み恐み申すと祭服で口承を執行うはフォークロアではなくリアリティー滴る陳腐なノンフィクション
◆
仕事が順調そうとか
子供がいるからとか
充実してそうだとか
幸せそうだったとか
そうで無く
なんで話してくれなかったんだとか
気付くことが出来なかったんだとか
きっと違う
誰にも気付かれたくなかっただけ
死にたいじゃなくて消えたいだけ
皆が抱いているイメージの人でいたかった
和気藹々な時だけは何も考えたくなかった
些細なことで迷惑なんてかけたくないから
紙一重で目指すのはいつも通り
無意識にポツリと呟いた言葉達
虚しく響く大丈夫なんて空元気
魔法の呪文なんてのは得てして
独り言つだけで成立してしまう
本人が思っているほど大丈夫じゃない
本人が言えば言うほど信用はしないで
ただ単に言い聞かせているだけだから
誰かが絶対に見てくれているからなんて
弛まぬ努力をすれば報われると押し付け
見えないところでしても誰も見てはくれない
奇跡的に見たところで何も感じてはくれない
粗探しではなく掘り下げているだけと宣って
眠らない方が閃くことがあると平気で嘯いて
信じ続ける真実は知りたくもない事実と化し
がむしゃらな結果に裏切られる羽目になって
それが当たり前になる裏で
アピール上手が蔓延るだけ
休んだり引き返したり諦めたり
雁字搦めを解きほぐし手放して
新たな道を探すことが最善の策
けれど他でもない自分自身の過剰さによって
生じた迷いから排除した選択肢が行動を縛り
妥協案すら思い浮かばないのは致命的な障碍
自分と他人による二正面作戦
剣先を軽やかになど躱せずブラインド
尽きているのに無理矢理奮い立たせた
それを回復の兆しと誤解し動き続ける
決して完治した訳ではないのだから
何かの拍子にいとも容易く開いた傷
知ってしまった幸せが最大の不幸で
根元から折れてしまったルドベキア
脆弱を嘲笑うことすらなく
諸刃の剣は眼中にさえなく
分かったつもりでいたけど
何一つ分かっていなかった
他の誰よりも長く傍にいたのに
ちっとも近付けた気がしなくて
全く心の思考が見えていなくて
追い込まれたことすら認識せず
合祀出来ぬままに自我は遠退く
死にたくなる理由なんてずる休みと同じ
ヒビだらけの心の隙間に打ち込まれた楔
最期の一線を越えるなんて大それている
留められるスイッチなんて有りはしない
死ねば行かなくていいんだって
面倒をやらなくていいんだって
一瞬魅せられ思ってしまっただけ
一瞬すると思ってしてしまうだけ
一瞬すると思ってしなかっただけ
判断能力など気に食わない程無いに等しく
私が今生きているのは単にしなかっただけ
ただそれだけのことで
そんなものでしかない